「…くりすます?」

「おう。サイケが言ってた。今日はクリスマスで、三田ってやつが子供達にプレゼントを渡しに来る日なんだってよ」

でもそれは良い子でなければ駄目らしい、とデリックは真剣な面持ちで津軽と話し込んでいた。
臨也の家ではハデな装飾で彩られていた。朝起きるとすでにこういう状態だったため、津軽は混乱した。
どういう事なんだろう、と近くにいたデリックに話を聞いてみる。
すると今日は三田という人間がプレゼントを持ってくるという。でも良い子でなければ駄目なのか。

「なぁ、デリック。おれは、良い子か?」

「んー…津軽は良い子じゃないか?悪いことしてないだろ?」

「うん…多分、してない」

「まぁ…オレは悪い子だから、オレんとこには三田は来ないんじゃねーかなー…」

「デリックは、悪い子、なのか?」

「え、まぁ…なんというか…良い子じゃねーし…どっちかっつーと悪い子、だなー…」

少しばかり落ち込むデリックに津軽は心配になる。デリックは悪い子なんかじゃない。
悪い子だったらきっとおれに三田のこと教えない。と、津軽は思う。

「大丈夫だよ、デリック。三田はきっと、デリックのところにも、来る」

「そ、そうかな…?」

「絶対」

「へ、へへ…ありがとうな。そうだ、三田はオレ達の欲しいモノをくれるらしいけど、津軽は何が欲しいんだ?」

欲しいもの、と聞かれて津軽は悩む。欲しいものなんて、無い。
特に生活で不自由をした覚えはないし、特別欲しいものなんて無い。
ああ、でも。欲しいと言ったら…。

「しずお」

「え?」

「しずおが、欲しい」

「…こりゃまた、オレと同じ考えって…アンドロイドも思念体も同じ事思ってんのかねー」

はは、とデリックは笑う。偽物は、決して本物にはなれない。だからニセモノはオリジナルを欲するのだ。
しかし、とデリックは考える。

「三田は静雄を連れて来れるのか?静雄、スゲー強いし…逆にボコボコにされるんじゃ…」

「そ、そしたら三田は…」

「や、やばい!どうしよう…っ、と、とにかく一応日々也に相談しよう!!」

ツリーの飾り付けをしていた日々也に、デリックと津軽は駆け寄る。
慌しい様子の二人に日々也は驚いて持っていた星の飾りを落とした。

「日々也!大変だ!三田が死ぬ!!」

「えっ、さ、三田…?誰ですか、それ…」

「しずおに、ボコボコに、されるんだ…!」

「どういう状況で!?というか三田とは一体誰なんですか!?」

取りあえず二人を落ち着かせ一体どういう事なのかを聞けば、日々也は一人、ああ、と納得する。
可愛らしい人たちだな、と心の中で思う。オリジナルの静雄に中身が似ていなくても、根本的な所は似ているんだな、と感じる。

「三田ではなくて、サンタクロース、ですね。全く、サイケも変な教え方するから…」

「さんたくろうす…」

「日々也、静雄は?三田は?オレは良い子か?悪い子か?なー日々也!」

「デリック、落ち着いて下さい。静雄さんもサンタクロースも大丈夫です!後デリックは私の可愛いデリックですから安心してください!!」

「日々也も、落ち着いて」

ごちゃごちゃとしている中、津軽だけが冷静を保つ。日々也がデリックを落ち着かせると、ゆっくりと言い聞かせるように話し出す。

「サンタクロースは、きちんと静雄さんを連れて来ますよ」

「ほんと?」

「ええ。サンタは良い子のところにしか来ませんから」

「やったー!津軽、静雄が来るってさ!オレ達へのプレゼントだ!」

「うれしい…!」

あ、と津軽はそこで気付く。そういえば日々也の欲しいものはなんだろう。
彼もあまり自分の欲を出さないから、気になってしまう。

「日々也の欲しいものは、何?」

「わ、私の…ですか?欲しいもの…というか、私は…その、デリックと一緒に居れたらそれで満足ですから…」

「わー!静雄ー!待ち遠しいなー!!ふふふふっ」

「…デリック、聞いてない、ね」

「だ、大丈夫です…いつもの事ですから…」

はは、と日々也が笑うと。ふと頬に何かが触れた。
見ればすぐ傍にデリック。

「へへ、日々也、ありがとうな!今のはお礼だから!」

「っ〜〜!!デ、デリック…!私は…、っもう!幸せです!!」

(デリックが、日々也のほっぺに、ちゅー、した…)

ぽけー、とその様子を見ていた津軽は、もしサイケにデリックがしたような事をすればサイケは喜ぶだろうか。
今サイケは出かけていて臨也の家にはいない。帰って来たら恥ずかしいけど、やってみよう。

「夜が待ち遠しいな津軽!」

「うんっ」

サンタさん、早く幸せを運んで来て。



(ハッピー!メリー!クリス、マーース!!)
(あ、サイケ。おかえりなさい。どうしたの、その赤い恰好。髭も、生えてる…)
(げげ!津軽には一発で僕って分かっちゃうのかー…愛の力ってやつかな?あ、そうそう。じゃじゃーん!静雄くんでぇーす!)
(よぉ、クリスマスパーティするっつーから来たんだが…)
(わぁああ!!静雄ぉー!オレと津軽のプレゼントきたこれぇええ!!サイケありがとぉお!!)
(ど、どうしたんだデリックのやつ…尋常じゃないぐらい喜んでるぞおい…)

―――――
派生組でクリスマス!


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