目の前に出された物に、どう反応したらいいのか分からなかった。
確かに自分が悪いのは分かっている。だけどそれは何としても阻止したかった。
事の始まりは数時間前。
虎徹がバーナビーのお気に入りの眼鏡を一つ壊してしまう処から始まる。
素直に謝ればいいものを、虎徹は怒られるのを恐れ嘘を吐いてしまったのだ。
それがバーナビーの逆鱗の触れてしまい、眼鏡を壊した事は許すから今日一日言う事を聞けと命令されたのだ。
けれど、バーナビーが命令してくる内容がどう考えてもヒーローがやる事ではないと思った。

「あの…バニーちゃん?これ…マジで言ってんの?」

「大真面目ですよ。おじさんが僕の眼鏡を壊さなければこんな事にはならなかったんです。でもまぁ、僕は結果オーライなので眼鏡の一個や二個、気にしませんけど」

「え、じゃあコレやらなくてもいいんじゃ…」

「何言ってるんですか。やりますよ」

お気に入りの眼鏡だったらしいのだが、バーナビーはあまり気にしていないようだった。
バーナビーが前々から虎徹にやって貰いたかった事とは『メイド服を着て奉仕をしろ』というなんとも変態染みた内容だった。
もう呆れるしかない。絶対そんなもの着るものかと虎徹は頑なに拒んだが、拒んでもいつか絶対何か理由を付けて着させられる気がする。
それなら今着るしかないのだろうか。だが、絶対に似合わないし着たくないという思いは変わらない。

「だいたいそのメイド服!どこで買ったんだよ!」

「普通にそういった店で買いましたけど」

「えッ!?…っだ、あ、っと!サ、サイズとかも合わないだろ!きっと!」

「おじさんのスリーサイズから体重、身長、何から何まで調査済みなので大丈夫です」

「どこからそんな情報が!?もうお前怖い!アポロン恐ろしい!」

ジリジリと可愛らしいフリルが沢山付いた服を持って迫って来るバーナビー。
正直怖い。物凄く怖い。完全に男…雄の目をしている。
こんな姿をファンが見たら確実に泣く勢いだろう。虎徹はすでに泣きそうになっている。

「ぉ、れの…メイド服なんて…か、可愛くないだろうし、そういうのはやっぱ女の子に…」

「おじさんは腰も足も細いし、見た目からして三十後半の男性には見えないですし十分可愛いから似合いますよ。後で写メ撮って携帯の待ち受けにするのでポージング考えておいてください」

「あ、うん…じゃなくて!」

無理矢理メイド服を押しつけられて着ろと目線で訴えられる。
仕方なくトイレでも入って着変えてくるか…、と虎徹はしょんぼりとトボトボ歩きながらバーナビーの横を通り過ぎる。はずだった。
腕をバーナビーに掴まれて引き戻される。なにするんだと視線で言う。

「何やってるんですか」

「は?お前が着ろっていうから、着替えようと…」

「此処で着替えて下さい」

「ん?悪い。聞こえなかった。もう一回言ってくれ」

「此処で着替えて下さい。ムービー撮るので。早く、おじさん。ほら」

呆れた。なんだコイツ。俺、こんなヤツとバディ組まされてたのか。俺、自分自身が不憫で仕方ないんだけど。
これ終わったら楓に電話しよう。そうしよう。
虎徹はバーナビーの暑苦しい視線を無視して無の意識を保ちながらメイド服に着替えていく。
用意されていたメイド服は虎徹の身体にフィットしていて、本当にバーナビーにドン引きした。
しかも下着まで用意されていて、これは流石に無理だと言ったらバーナビーも渋々了解してくれた。
これには一安心した虎徹だが、次にバーナビーが放った一言に絶望する。

「おじさん、今日は僕の事をご主人様と呼んで下さい」

「え、やだ。絶対嫌だ」

「おじさん…?」

「ハイ、スミマセンデシタ、ゴシュジンサマ」

「よろしい」

今日一日耐えるだけ。それで全部終わる。虎徹はそう思う事にした。
そうでなければこんなふざけた事やってられる訳がない。眼鏡を壊しただけでこんな事になるなんて…。
虎徹はそっと現実から目を背けるように目を閉じた。



最初はバーナビーのペニスを舐めて、咥えて、手で擦った。気持ち良くしろ、と言われて慣れない奉仕をやっている訳なのだが、彼は一向に達する気配がない。
上目使いでチラリと見れば携帯片手に写メを連射で撮りまくっていた。

「おじさん、その顔、すごくイイです」

「あっ、そぅ…つ、か…お前、さっさとイけって…」

「おじさん、下手すぎるんですよ。ああ…上の口じゃなくて下の口で食べたいって事ですか?それならそうと早く言えばいいものを」

何を言っているんだろう。勘違いにも程があるだろう。
呆れていれば、頭をガッと掴まれて激しく前後に腰を打ちつけられる。
ペニスが喉に当たって苦しい。気持ち悪い。息が出来ない。
口の中に苦い味が広がる。思わず吐き出そうとしたら、飲めと命令され仕方なく飲み込んだ。
苦いし青臭いし不味い。激しい吐き気を催したが、なんとか耐えた。
今度はベッドにうつ伏せになれと言われ、腰だけを高く持ち上げられる。

「…下着が女性物ではないのが残念ですが…まぁ、これはこれでいいでしょう」

「…あの、バニーちゃん?これ、結構恥ずかしいんだけど…」

「…おじさん、僕の事はご主人様と言うように先程言ったはずですが…?」

ヤバイと思った。恐る恐る後を振り返れば、バーナビーは悪い笑みで。

「ダメなメイドには、お仕置きが必要ですね」

もうどうにでもなれとバーナビーに身体を差し出した瞬間だった。
下着を一気に脱がされて秘部にバーナビーの長く細い指が縦横無尽に虎徹の中を刺激する。
いつもと違い、痛く激しいもので虎徹は痛さに思わず顔をシーツへ押し付けた。

「ぁ゛、あ!いだ、ぃ…ッ」

「痛くしているんです。これはお仕置きですから」

「んあ゛!ぁ、ぐっ、ぅうう…」

指が二本、三本と増えていき中を刺激する。目の前がチカチカする。
虎徹は刺激に耐えるように声を殺した。バーナビーの指が虎徹の前立腺を見つけると、少し掠る程度にそこを弄る。
もっと快楽が欲しいのに、バーナビーはそれを虎徹に与えようとはしない。
虎徹はもどかしくなり、等々自分から欲求の声を上げてしまう。

「ひぁ、あ…バニ、…じゃな、くて…ご、しゅんさまぁ…も、イキたい…ッ!」

「そうでしょうね。こんなに先走りが零れて…フルフル震えてますよ。可愛い」

「ん、んっ…ぁ、も…お願、ぃ…だからァ…おれっ、もぅ、…!」

「じゃあ、自分から挿れてみて下さい」

仰向けになったバーナビーの上に虎徹は馬乗りになるように乗る。
スカートの裾を持ち上げて、自分の秘部にバーナビーのが挿る処を見せるような格好をした。
バーナビーがゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。
それを合図に虎徹は自分の腰を落としバーナビーのを飲み込んでいく。
自分の体重でドンドン中へ挿っていく度に虎徹はビクンビクンと己の身体を震わせた。

「ぅあ゛あ、あああァー…」

「くっ、…流石に、締め付けてきますね…」

「ふ、っぅ…ん、んぐ、っん…ふか、ぃいッ…奥まで、きちゃ…ぁッ」

「おじさん、止まってないで腰、動かして下さい」

バーナビーの身体に手をついて自分の腰を上下に動かす。
それが堪らなく気持ち良くて無我夢中で腰を振った。抜き差しをする度にぬちょぬちょという音が聞こえる。
気持良い、気持良い。なんだ、これ。いつもと違うシチュエーションに興奮しているんだろうか。
虎徹はおぼろげな意識の中ぼんやりと考える。
こんな服を着ているせい?バーナビーがいつもと何か違うから?
理由は分からないけど、興奮している事は確かだった。

「ぁ、っあ、っあ、ご、しゅ…じ、さま…ぁ、い、イィ…ッ、気持ち、いぃっ、よぉ…!」

「っ僕も、凄く…気持良い、です…。おじさんの中、とても熱い…」

「ひ、ああ、んァ!あ゛…ぁ、あ!ゃ、あ…も、イっちゃ、う…」

「ん…中、出しても、いいですよね…?ゴム、付け忘れました、し…ッ」

「へ、ァ…?ぅ、あ!やらッ、まっ…中は、らめ、らってぇ…ッ!」

「呂律、回ってないです、よ…!それに、もう、…遅いです…ッ、ぐ、うぁ、あ…」

ドクンと中に放たれる精に虎徹はビクビクと身体を震わせた。彼自身も数回に分けて精を吐き出せば、ドッと疲れが押し寄せてきてそのままバーナビーの上に倒れ込んだ。
ああ、折角の可愛いメイド服が精液だらけになってしまった。
怒られるかな、とチラリとバーナビーを見れば、彼はニヤリとこれまた嫌な笑みを浮かべていた。

「おじさん、可愛かったです。おじさんも興奮したんですね」

「っう、うるせーな!それより…もう満足だろ、抜けって、…んあァッ、!?」

「今日はまだ終わってません。本番はこれからですよ、おじさん。覚悟して下さい」

サァー…、と虎徹の顔色が真っ青になる。今日が終わるまでこの格好?このままヤるの?
その場から今すぐ逃げ出したくなったが、腰が痛くて動けない。
これは本格的にヤバイ。虎徹の必死の抵抗も結局は無駄に終わるのだが、彼はまだその事に気付かずバーナビーの腕から逃げようともがく。

「逃げようったってそうはいきませんよ。まだまだやりたい事は沢山あるんです。今日が終わるまで付き合って貰いますからね」

「も、最悪だ…」

明日は会社に出勤出来ないのは確実だな。このままハンドレットパワーで抜け出してやろうかと考えたが。
バーナビーの能力も虎徹と同じハンドレットパワーである。結局は抵抗してもしなくても同じ事なのだ。
虎徹は大きく溜息を吐いた。



(おじさん、溜息を吐くと幸せが逃げますよ)
(…誰のせいで吐いてると思ってんだよ…ハアァ…)

―――――
前半の件が長すぎた…。
変態兎は好きです!寧ろ気持ち悪い兎が大好きです!
私も虎さんにご奉仕して貰いたい。そして苛めたい。
拙い文章ですみません!
リクエストありがとうございました!!


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