*マベ事件解決後
*病虎


OK?↓





あの忌まわしい事件解決後から数カ月。ヒーロー達は昔以上に犯罪を取り締まり、TV内でも活躍をみせていた。
そんな中、バーナビーは隣にいないパートナーの心配をしていた。
いつもは出社時間のギリギリにやってくるのに、今日は出社時間を過ぎても彼は現れなかった。
彼の身を心配して、バーナビーはパートナーである虎徹へ電話を掛ける。
三度目のコールで聞こえた声は、いつもの彼の声だった。

『…もしもし?』

「虎徹さん?今日はどうしたんですか?風邪、ですか?」

『んーん、俺が風邪なんか引くわけねーだろ』

「ああ…馬鹿は風邪を引かないって言いますもんね」

『うるせぇ!で?なんだ?何か用があったんだろ』

「いえ…出社してこないので、具合でも悪いのかと…」

『あ…もう、そんな時間なのか…悪い、あの…今から、行くわ』

「…大丈夫ですよ、僕が迎えに行きます」

『お、悪いなぁ、バニー』

ありがとう、と言って虎徹は電話を切った。バーナビーは自分の拳を血が滲み出る程強く握った。
彼が会社に出社しない事は、時々ではない。あの事件以来頻繁に起こるようになった。
虎徹は忘れている訳でない。会社に出社したくない訳でないのは分かっている。
バーナビーは急いで身支度をすると、バイクを飛ばし虎徹の家へと向かった。
彼の家は、窓という窓はすべてカーテンで仕切られ中を見れないようになっている。
呼び鈴を鳴らす事なく、バーナビーは持っていた合い鍵で虎徹の家の中へ入る。
電気が一切付けられていない、真っ暗な部屋。
迷う事なくベッドルームへ向かうと此方に背を向け丸くなっている虎徹の姿が目に入った。

「虎徹さん」

「…あれ、バニー…もう来たのか。早いな」

暗闇に目が慣れれば彼が今どんな顔をしているのか分かるようになる。
あの頃より、少し痩せたような気がする。

「悪いな…、なんか、今日は…つーか、今日も…外に、出れなくて。出ようとすると、どうしても足が震えて、な…これでも頑張って行こうとしたんだぜ?」

「…すみません」

「はぁ?どうしてバニーが謝るんだよ」

「だって、それは…元はと言えば僕達のせいで…」

無実にも関わらず散々殺人犯だと言われ、仲間でありライバルでもあったヒーロー達からの攻撃。
記憶が戻った時は明るく振る舞っていたのに、いざ一人になるとその時の恐怖やショックが一気に溢れだし虎徹の精神を徐々に蝕んでいった。
気付けば二日に一回は家から一歩も出ない人間不信な生活を送っていた。
外に出れば警察がいる、俺を捕まえに来てる、俺は何もしていないのに、どうして皆忘れているんだ。
会社の皆、仲間、親友、パートナー。自分の存在が全て否定されているようで、息苦しくて、哀しくて、寂しかった。

「…ごめんな、バニー」

「貴方は悪くない!悪いのは、全部、僕が…ッ」

貴方に攻撃を仕掛けた。傷付けた。殺しかけた。それは、恩を仇で返したようなものだ。
彼に何度も救われたのに。歯痒い思いに、自分で自分を殴りたくなった。

「大丈夫だって。これから少しずつ外に出れるように頑張るから…な?お前は責任を感じなくていいんだよ」

全部一人で抱え込む事にする。虎徹はバーナビーにこれ以上心配を掛けまいと必死で笑顔で言った。
心配しなくていい。大丈夫。お前は自分の事だけ考えていればいい。俺の事は気にするな。
そう言われている気がして、バーナビーは自分の無力さを思い知った。
何も出来ない。パートナーなのに。この人にたくさん助けられたのに。

「…嫌です」

「バニー…」

「一人で解決しようとしないで下さい!僕達はバディなんですよ!」

「あー…でも、俺、もう…能力が…」

「知っています!でも、それでも、貴方は僕のたった一人の、パートナーなんです!」

今度は自分が助ける番だ。バーナビーは自分自身に何度も何度も言い聞かせた。
目の前の大切な人を、今度こそ失わない為に。

「今度は僕が、貴方を助けます」



抱き締めた彼の身体は、温かかった。

―――――
病虎が書きたかったのに中途半端に…。
事件後の虎さんは元気に振る舞ってはいるけど、きっと心の傷は大きいと思う。
そんな虎さんを助ける兎…を目指した、が、撃沈orz


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