ジェイク戦が終わってから、俺は改めて再入院させられた。
まぁ自分で完全に傷が治ってないのは分かっていたけど、ほっとけば治ると思っていたのだが。
バニーに半分引きずられる形で真っ白な病室に連れて行かれた。
同じ病室にはキースとアントニオとイワン。

「よぉ、再入院だってな、虎徹」

「うるせー。俺はもう平気だって言ってんのに…」

「どこが平気なんですか。無理矢理ハンドレットパワーで表面上の傷を治しただけでしょう。内臓はボロボロのままじゃないですか」

「ええ!?タイガーさん、全然平気じゃないじゃないですか!」

「無理はいけない。絶対にいけないぞ!」

あれ、なんで俺皆から責められてんだ?大丈夫だと思ったんだがな…。やっぱ駄目か。

「…お前らは怪我、平気なのか?」

「まぁ…お前よりは酷くないからな」

「僕達はあと数週間で退院できるそうです」

「へー…いいなぁ」

「おじさん、文句ばっかり言ってないで…ほら、リンゴです」

そう言ってバニーが差し出してきたのは不格好に切れた一口サイズの林檎。
林檎とバニーを交互に見れば、見る見るうちにバニーの顔が真っ赤に染まる。今のバニーの顔、林檎より赤いんじゃねぇかな。

「な、なんですかその顔は!」

「いや…へったくそだなぁと思って」

「なッ…!!」

他の連中もその不格好な林檎を見ようと俺に群がる。なんで林檎がこんな可哀相な姿になるのか…。
バニーって不器用なんだな…。

「あ、なんなら僕が切りましょうか…?こういうの、得意なんです」

「お、ありがとうな、折紙」

「い、いえ…!」

俺が折紙と話していると真後ろから明らかに不機嫌です、といったオーラを纏ったバニーが俺達を睨みつけていた。
ああ、自分より年下の折紙に役目を奪われて悔しいのか。なんだ可愛い処あるじゃねぇか。

「ほーら、バニー。俺の怪我が治ったら兎林檎の作り方教えてやるから、そんな拗ねるなよ」

「べ、別に拗ねてなんか…!」

「バイソン君。兎林檎とは…?」

「あー…林檎の皮を兎の耳の形みたいに切って…兎のようにみせる…その…切り方っていうか…」

いつの間にか病室が林檎だらけになった。これ以上ないってぐらい林檎を食べた気がする。
暫く林檎は食いたくない。



その後、お見舞いに来たネイサン達が大量の林檎を持って現れた時はなんの嫌がらせかと思った。

―――――
兎が不器用だと可愛いよねっていう。折紙に無自覚嫉妬な兎。
どうせなら幸せに!とリクと頂きましたので、のほほんとした13話後の病室での出来事を。
勝利の後のつかの間の休息。


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