ああ、慣れたものだと自分でも思う。大事な大事なスポンサー様。
ヒーローを続けていくには彼らの機嫌をとらなければならなかった。
そうでないとヒーローが出来なかったから。
なんて汚いんだろうと思う事は何どもあった。けど、ヒーローを続けていくには仕方がなかった。

「んぅ、んっ、はぁ、ン…!」

「…上手だね、タイガー君は。流石ベテランな事だけあるよ」

「ふぁ、あ…ぁりがと、ぅ、ござい、ます…」

こうやってスポンサー様の汚い身体に跨って腰振ってご機嫌を取って。
汚い汚い仕事だ。今も昔も何も変わってない。
期待の新人とバディを組んだ今も、こうやって知らない男と身体を繋げて快楽に転がり落ちて。
相棒は、これを知ったらどう思うだろう。軽蔑する?コンビは解消?
ああ、その方がいいのかもしれない。

「…考え事とは、随分余裕じゃないか」

「ぇ、ひゃ、ああァ!!ぅあ、あっ、おく、奥に、ぃ…ッ!」

「君の相棒のバーナビー君に、こういう事をさせてもいいんだよ?」

「ま、っ――…!そ、れ、だけは…、ぉれ、俺…頑張ります、からぁ…!」

バーナビーは関係ない。こんな事をするのは俺一人で十分だ。
彼にはこんなヒーロー界の裏の顔なんて見なくていい。
ただでさえ彼は背負っているものが大きいのに。こんな汚い事をみたらきっと、壊れてしまう。
自分一人で抱え込めば大丈夫。何も問題はない。

「そう、それでいいんだよタイガー君」

「ぇう、う…、ひぅ、ィあっ…!」

男が身体を触って来る。気持ち悪い。
虎徹はゆっくりと現実から背くように目を閉じた。


目を開けば、誰も居なかった。ズキズキと痛む腰を支えて起き上がる。
ああ、帰ったのか。どうやらスポンサーは帰ったようだった。
立ち上がろうとすればドロリと流れ出てくる白濁。

「…そのまま放置してったのかよ」

虎徹は溜息を吐くとシャワールームへ向かった。コックをひねる。
冷たい水が流れる。ああ、いつまでこんな事を続ければいいんだろう。
冷たくしょっぱい水が頬を伝い流れた。


会社へ向かえば、すでにそこには相棒の姿。なぜか無償に泣きたくなった。
でも、そこはぐっと抑えて何事もなかったかのように笑って駆け寄った。

「おはよ、バニーちゃん」

「…僕はバーナビーだと何回言えば覚えるんですか貴方は」

「いいじゃん、いいじゃん。ほら、朝のあいさつ、忘れてるぞー」

「…オハヨウゴザイマス、先輩」

「うわ、棒読み!もっと心をこめて言えよなー」

なんでもない会話が嬉しくて嬉しくて。昨日の事なんて忘れてしまえそう。
スキンシップを込めてバーナビーの頭を撫でてやろうとした。だが彼に触れる直前に、手をふと止めた。
撫でられると思っていたバーナビーは不思議に思い、虎徹の顔を見つめる。

「…おじさん?どうしました…?」

「え?…ぁ、いや!なんでもない!なんでも!」

「は…?」

彼に触れる瞬間、触ってはいけないと思った。こんな汚い手で、彼を触っては駄目だ。
途端に不機嫌になるバーナビーを無視して虎徹は自分のデスクへ向かう。
彼は何も知らなくていい。このまま、綺麗なままでいてくれたらいい。
少し困ったような顔をして、隣にいるバーナビーへ微笑んだ。



俺は余りにも汚れすぎていた。

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虎(→)兎のバッドエンド風味(←

スポンサー×虎が脳裏を駆け巡ってどうしようもなくて書いた。
後悔も反省もしていない。


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