半分俺を強姦したような臨也が買ってきたプリンは、俺が望んでいたプリンとは違った。
なんで無駄に高いプリンを買ってくるんだ。よっぽど裕福な生活をしてきなんだろうなあの野郎は。
ムカつく。何だよ、自慢してないように見えてホントは金持ちなのを自慢しやがってよ。
臨也が買ってきたプリンも食ったが、やっぱりいつも食べている物でなくては駄目だ。
だから、まだ痛む腰を上げて買いに行こうと思った。だが…。

「え、え…どこ行くのシズちゃん…」

「プリン買いに」

「ええー!?俺ちゃんと買ってきたじゃん!?なんの嫌がらせな訳!?」

「手前に買わせた俺がバカだった。じゃ」

「ちょ、ええ!?待ってよシズちゃん!!」

そんな会話が数時間前。俺と臨也は池袋の街を歩いていた。
どっちかと言うと臨也が俺の後を着いて来ているだけなんだがな。
ああー、うぜぇ。着いてくるなら堂々と着いてきやがれってんだ。
あのノミ蟲野郎はあんな女みたいなヤツだったか?いや、違うな。
きっと俺への強姦に近い行為を反省しているに違いない。…そうだと思いたい…。

「…あ、あのさシズちゃん」

「…んだよ」

「あ、返事してくれた!」

「じゃあもう手前には喋らねぇ」

「ごめんシズちゃん!…あ、あのさ、ちょっといいかな?」

「あ?」

臨也に手を引かれて連れて行かれたのは薄暗い路地裏。
嫌な予感しかしないのは何故だろう。臨也は俺を壁際に追い込むと、ダンッと壁に手を付いた。

「一生のお願い。コレ付けて一緒に買い物しよう!」

臨也がコレ、と言って差し出してきたモノは、明らかに今朝届いた大人の玩具。
少しでも信じた俺がバカだった。コイツ、全く反省なんてしてなった…!

「いーざーやー…、手前、全く反省してねぇのかよ」

「俺の辞書に反省なんて言葉はないからね」

「変態、って言葉は刻みつけとけ。そして死ね」

「死なないよ。俺の一生のお願い、叶えなくちゃいけないんだもん」

「俺にとって叶えられちゃいけねぇ願いだな。つーことで、」

俺は一瞬のスキをついて臨也から逃げ出した。馬鹿じゃねぇのあの野郎。
可笑しい可笑しいと思っていたが、ここまで酷いとは。もう手の付けようがねぇな。
案の定あの野郎は俺の後を満面の笑みで追いかけて来る。しかもその腕にはさっきの玩具。
んなもの街中で振り回すなよ。ほら、一般人が奇妙な目つきで見て来るだろうが!

「シズちゃーん!頼むよ、一回でいいから付けてよー」

「誰が付けるか!手前に付けやがれ!」

「俺、そんな趣味ないし。シズちゃんじゃないと意味がないんだってばー」

「俺にだってんな趣味はねぇよボケ!死ね!!」

「なに言ってんの。昨日は嫌がってたのにあんなに…」

「黙れぇえええッ!!」

もうこんな事を続けていたら埒があかない。仕方なく走りながら近くのコンビニへ寄ってプリンを掴むとレジに千円札を置いて、また街中へと飛び出た。
店員がお釣りがどうとか言ってたが、んなもの今はどうでもいい。
なんとか臨也を追い払う事だけに専念しないと、後々酷い事が起きそうで怖い。
プリンが食いたいなんて言わなきゃ良かった…。そんなモノ何時でも食えるのに。
ああ、俺の馬鹿野郎。

「へぇー、シズちゃんってそのメーカーのプリンが好きなんだ。覚えておかなくちゃ」

すぐ横で声がしたと思ったら、案の定臨也がいた。どこまでも俺を不愉快にさせる野郎だ。

「初めてシズちゃんと二人で買い物したよ。良い体験だったなー」

「はァ!?手前何言って…!」

「ちゃんとお釣りは貰わなきゃいけないでしょ?店員さん困ってたよ。ま、俺はこんな小銭要らないけど、シズちゃんにとっては大切なお金だし。俺って優しいなぁ」

そう言う臨也の手のひらには先程のコンビニで買ったプリンのお釣り。なんなんだ、コイツ。

「と、いう事で、わざわざプリンのお釣りを貰ってきてあげた優しい俺へのお礼として、野外プレイと洒落込もうか。ね、シズちゃん」

もうコイツと会話するのが嫌になった。いっそこのままコイツ死んでくれればいいのに。



(プリンプレイっていうのもいいと思わない?ねぇ、シズちゃん)
(頼むから死んでくれノミ蟲。頭が痛くなってきた)
(それは大変だね。じゃあ新羅の処にでも行って座薬貰って、お医者さんごっこプレイでもする?)
((俺、初めてコイツをこの世から完全に抹殺したいと思った))

―――――
時間無くて短くなってしまった…。
これ、揃って買い物してないよ…おバカ!

臨也さんが限りなく変態だ…!

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