世界は、残酷である。人間が一人消えたとしても、そのまま何事もなかったかのように動き続ける。
その一人が誰かの人生を狂わせたとしても、それは世界にはなんの影響も無い。
まるでそれが運命だと言うように。
僕は、探し続ける。いなくなってしまった、あの人を。
どこかにいるのではないかと。隠れているだけで、探せばきっと見つかるんだと。

「バーナビー、もう止めなさい。タイガーはもういないのよ」

違う。居なくなったなんて嘘だ。だって、あの人は言っていた。
必ず帰ってくるって。一緒に酒を飲もうって、誘ってくれて。珍しく僕も付き合ってあげようとその誘いに乗って。
楽しみにしてたんだ。
約束の日は過ぎてしまったけれど、僕はずっと待っている。
待ち続けているんだ。

生活も荒れた。仕事も上手くいかない。だって、あの人がいないから。あの人が僕の名を呼んでくれないから。
ぼんやりと空を眺める。
この空は変わらない。あの人が居なくなったのに、変わらない。
世界はなんにも変わらない。
どうして。あの人が居なくなっただけで僕の人生はこんなにも狂ってしまったのに。

「…虎徹、さん…」


(
)


ねぇ、どこに居るんですか。僕も、連れて行って下さいよ。

―――――
虎さんは仕事中事故でお亡くなりに。
それを認めたくない壊れ気味の兎さん

『Aコース』様よりお題をお借りしました。


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