時々、人肌が恋しくなる時がある。独りなんて慣れたと思っていたけれど、それはただの痩せ我慢だったのかもしれない。
街中で仲の良い親子やカップルを見る度、胸の奥がギュウと締め付けられる。
羨ましい、とか。そういう事ではなくて、ただ寂しくなるのだ。
しかもだいたいそういう時に限って、厄介事が起こる。

「よぉバニーちゃん!近くに来たもんだから、来ちゃった」

来ちゃった、じゃないだろう。バーナビーは扉を開けた事を物凄く後悔した。
扉の奥には笑顔の虎徹。どうしてこういう時に限ってこの人はやって来るのだろう。
まるで図ったかのよう。こちらの心境を理解して来ているのだろうか。

「…なんの用ですか」

「いや、だから近くまで来たからついでにバニーちゃんにも顔出そうかと…」

「迷惑です」

きっぱり言ってやった。こうでもしないとこの人は諦めてくれない。
しつこいのだ。お節介だし。

「まぁ…、いいからいいから」

「な、ちょっ…!」

虎徹はズカズカとバーナビーの家の中へと入り込む。いつもそうだ。
勝手に入って来ては居座って。そんな温もりは、迷惑なだけだ。必要ない。

「んー、相変わらずバニーん家から見る景色はスゲーなぁ」

「ちょっとおじさん!勝手に入らないでくださいよ!」

「はいはい。…ほら、バニーちゃん、こっちおいで」

「…ッ……」

まるでこの胸に飛び込んで来い、とでもいうように虎徹は両腕を広げてバーナビーを待つ。
バーナビーは、それに恐る恐る近づく。中々近づいてこないバーナビーに今度は虎徹から近づき思い切りバーナビーを抱き締めた。
眼を見開いて驚いた。背中に手を回されて、ぽんぽんとまるで愛おしむように撫でられる。

「ほら、そんな無理すんじゃねーよ。たまには力抜かないと、な?」

優しく言い聞かせるように。まるで親のような。
涙が溢れてきそうだった。求めていた温もりは、こんな暖かいものだったのか。
泣き顔は見せるものかとバーナビーは虎徹の肩に顔を押しつけた。

「…おじさんのくせに、生意気です」

「うるせー。なんならもっと甘やかしてやろうか?」

「…そうですね」

「え?」

冗談のつもりでいった事がまさか間に受け入れられるとは思っていなかった虎徹は焦った。
バーナビーはそんな虎徹を尻目にプチプチと虎徹のシャツのボタンを外していく。
露わになった肌にちゅ、と口付ける。

「ぁ、ちょ…バニーちゃん?え?マジ…?」

「勝手に僕の家に上がり込んだ訳ですから、こういう事も期待していたんですよね?」

「へ?いや、俺はそんなつもりは微塵もなくてだな…!」

「今更、もう遅いですよ」

胸の飾りを強く抓った。そうすれば虎徹の身体はビクリと震え甘い声を上げた。
抓ったり舐めたり噛んでみたり。そうすれば面白いように虎徹の身体は陸に打ち上げられた魚のようにビクビクと振るわせる。

「ぅあ、あ…バニ、そこばっかり、ィ…!」

「おじさん、乳首弄られるの、好きでしょう?」

「だから、ってぇ…!ひァ…ッ」

「僕を甘やかしてくれるのなら、何してもいいんですよね?おじさん」

何してもいいは言いすぎじゃないだろうか。でもこれが彼なりの甘え方なら、それはそれでいいのかもしれない。

「指、入れますよ」

「ん、ン…ッ、ふ、ぁ…、ああああッ」

虎徹は目の前のバーナビーにしがみ付き押し寄せる快楽に耐える。
指が入れられただけなのに、こんなにも身体は正直に快楽を訴える。
気持ち良くて、頭が真っ白になって。そのまま溺れてしまう。

「バニ、ぃ…、ぁ、あ、あッ…、ひンッ、ぁ…そこ、ビリビリ、てぇ…!」

「ココですか?」

「ふァあああッ、ぁ、ぁあ…」

前立腺を弄られてさらに大きな快楽が押し寄せる。脚がビクビクと痙攣する。
ぼんやりと映る天井を眺めていたら、中に入っていたバーナビーの指が引き抜かれて今度は別の物が宛がわれた。

「おじさん、挿れますよ…?」

「ん、…早く、こい…、目一杯、甘やかして、やるから…」

兎は寂しいと死んじゃうんだもんな、なんて笑って言えばバーナビーも笑ってそうですねと虎徹の腰を掴んで自身を捻じ込んだ。
最初は勿論痛い。でも慣れてくれば今度は痛みより快楽がやってくる。

「か、っは…、は…、バニーの、でっかく、て…苦し…ッ」

「バーナビーです。何回言えば覚えるんですかッ」

「ひン、ンぁッ!そ、な…怒る、なよ…」

「怒ってません」

「怒ってるって、ぁ、あ…!ばっか、いきなり、激しくすんな、って!ぅああ、ん!あッ」

ムキになっているだけなんだろうけど、こうも激しくされては体力が持たない。
これは明日の朝は一日動けないだろうな、なんて思いつつ虎徹は汗ばんだ腕をバーナビーの背へと回した。

翌朝、案の定腰が動けなくて仕事場に出勤できないなんて事になるなんて虎徹は思ってもいなかったであった。



またあの温もりが欲しいなんて、口が裂けてもいえない

―――――
寂しがり屋の兎と、そんな兎を甘やかしたくなる虎さんのお話。


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