ふぅ、と一息ついた。ここは、虎徹の家ではない。咥えていた煙草を口から離し息を吐く。
隣で眠るのは、最近パートナーとなったバーナビーである。
二人とも服は着ておらず真っ裸のまま毛布に包まっていた。

「あー…、痛ってー…」

虎徹は腰を摩りながら窓から見える風景を眺めた。三十後半のオッサンに五回もヤるなよ。と、心の中で愚痴る。
若いのはいい事だが、こちら側の事も考えて欲しいと虎徹はまた溜息を吐いた。
すると、隣で寝ていたはずのバーナビーがむくりと起き上がり少し不機嫌そうな表情を虎徹に向ける。

「…そんなに僕とヤるのは嫌だったんですか」

「あん?」

「さっきから溜息ばかり…嫌なら嫌と初めに言って下さい」

視線を向けるとバーナビーが眉間にシワを寄せ怒ったような悲しいような顔をしていた。
虎徹は違う違う、とクスクスと笑いながら首を振った。

「嫌じゃねーよ。ただ、俺がバニーぐらい若い頃ならまだ体力あるし、後三回は出来たなーって」

「はっ…」

「鼻で笑うなよ!…なんだよ、ったく…」

虎徹笑いながらバーナビーの頭をくしゃくしゃと撫でた。バーナビーはなんだか放っておけない弟みたいで虎徹は思わず甘やかしたくなる衝動に駆られた。

「やめて下さい。髪が乱れる」

「酷い!!…バニーちゃん、最近俺に冷たいよな…?ツンデレの時期なのか?それとも生理二日目…」

「ハンドレットパワーで吹っ飛ばしますよ、おじさん」

「冗談に決まってんだろ!!マジになんなよ!オヤジジョークだっての!」

慌てて弁解するもバーナビーの目は本気だった。殺される!!
思わず目を瞑ったが、いつまで経っても痛みは来ない。
薄っすら目を開けると、バーナビーはクスクスと笑って。

「おじさん、本気にしたんですか?」

「え…」

「僕が自分のパートナーを吹っ飛ばす訳ないでしょう?ふふ、おじさんの慌てた顔…最高に面白かったですよ」

「なっ!ばっ、バニーちゃんの鬼畜!悪魔!兎!!」

「最後の兎ってなんですか」

最初の頃はギスギスしていたが、バーナビーは自分をパートナーとして認めてくれた事に虎徹は途端に胸が弾み、笑みを浮かべた。

「…そう言えば、おじさん」

「なんだー?」

バーナビーに話し掛けられ、上機嫌で振り返ればバーナビーは虎徹とは違い真剣な顔をしていた。

「おじさんって、処女は誰に捧げたんですか?」

「ぶっふーー!!??おま、お前!何真剣な顔して聞いてんだよ!俺心の準備出来てねーんだけど!!」

「いえ、始めてではなさそうだったので…」

「う、ま、まぁ…若気の至りってやつで、昔…な」

「…相手はアントニオさんですか?」

「はぁああ!!??アイツはただの友達で、って…ば、バニー?落ち着け!さっき五回もヤっただろ!オジサン体力ないからもう無理で…!!」

「すみません。僕の勝手な嫉妬心のせいです。大人しく食べられて下さい」

最近の若者って容赦ないんだな。オジサン参っちゃう。虎徹はただただバーナビーに身を任せるしかなかった。



(…も、もう…死ぬ…)
(何を大袈裟に。…ほら、マヨネーズをたっぷりかけたサラダ作りますから、それで許して下さい)
(マヨネーズ…!たっぷり…!サラダ…!)
((…子供だなぁ…))

―――――
兎虎!おじさん、可愛いっす…。
虎が兎に食べられてるとか…mgmg




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