サイケと津軽がやってきて、早一週間。
あっという間だったような気がする。
最初は違和感しかなかった。同じ顔が一人、そして天敵である男を同じ顔をしている男。

「ホント、なーんで同じ顔してるんだろうね」

「だぁーから、僕達は臨也くんに作られたんだって。僕が臨也くんと同じ顔なのは…臨也くんがナルシストだから?」

「俺はナルシストじゃないよ」

「似たようなもんだろうが、ノミ蟲」

「いつからそこにいたのシズちゃん…」

「津軽が無理やり俺を引っ張って連れてきた」

「だって、しずお、動かない、から…」

サイケも津軽も人間ではない。いわゆるアンドロイドというものだ。
だが人間のような感情も持ち合わせている。喜怒哀楽も勿論ある。

「だいたい、俺はアンドロイドなんか作れないんだけど。未来の俺どんだけハイテクなのさ…」

「えー、臨也くんはなんでも作れるんだよ?料理は破壊的に駄目だけど」

「鍋しか、作れなかった、ね…」

「料理もできねぇのかよノミ蟲は。はっ、どうせ一人で寂しく鍋でも突いてたんだろ?」

「ぐっ、大体あってるから言い返せない…!くそっ、シズちゃんのくせに…!!」

案外この場に馴染んでいる四人。静雄も臨也も喧嘩をしていない。
それはきっとサイケと津軽がいるからなんだろう。

「そういうシズちゃんは料理できるのかよ!」

「ああ、カレーが作れるな。あと…ラーメンとか…」

「静雄くんの料理は美味しかったね!津軽!」

「うん。すごく、美味しかった…」

「なん、だと…!?シズちゃんのくせに料理ができるとか…悔しい!」

「鍋しか作れないテメェとは違うんだよ、バーカ!」

「ぐあああ!シズちゃんに馬鹿にされた!!ううー、シズちゃんの変な噂、ネットに流してやるからねシズちゃん!」

「その変な嫌がらせを止めろ!!」

まるで中学生の喧嘩のような、そんな二人の様子をサイケと津軽はそっと眺める。

「…案外、仲良いよね、二人とも」

「おれ達、来なくても、大丈夫だった、かな…?」

「うーん、でも来なかったらこんな風に楽しい会話しなかったと思うよ」

「そっか…」

「これからも、二人で臨也くんと静雄くん、仲良くさせてあげようね、津軽!」

「うん、頑張ろうね、サイケ!」



(やーい!シズちゃんの変な噂ネットに流してやったからなぁー!)
(てめっ!いぃぃざぁぁやぁああ!!)
(その前にお家が壊れないといいね)
(ね…)




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