ネタMEMO(全体的にR15) (○→デュラ ▲→T&B ◎→その他) |
*時代背景が謎 *唐突に始まって唐突に終わる *奴隷な虎と貴族な兎 死は痛みの解放とは違うのだ。 この炭鉱で現場監督をしていた男に髪を強く掴まれ、痛みに顔を歪める。 前にも、こうやって抵抗をして酷い目に合わされた。 あの時は散々抵抗していたが、力尽き、引き摺られるように懲罰房へと連れて行かれた。 その後の事はあまり覚えていない。 ただ、全身が悲鳴をあげる程鞭で叩かれ、腫れ上がっていた事は覚えている。 その時は五体満足で終わったが、今日はきっとそれだけでは済まされないだろう。 ーーどうして俺は、こんな暗い炭鉱で痛みに耐えながら仕事をしているんだろう。 ーーどうしてアイツらは、暖かく幸せな世界に居るんだろう。 奴隷達が働くこの炭鉱に珍しく小綺麗な男が現れたものだから、胸の内に溜まっていた怒りが爆発し思わず食って掛かってしまった。 だが、それも意味を成さずただただ虚しく散った。 「すみません、バーナビーさん。見苦しいモノを」 「いや、大丈夫です。…それより、あの人はどうなるんですか?」 「バーナビーさんが気にする事じゃありませんよ。では、奥へとご案内します」 案内人の男と、その後に続くバーナビーを憎しみを込めた目で睨みつける。 悔しいのに、言葉も涙も出ない。 バーナビーの“彼”を見つめていた目が、すっと細められた。 「…そういえば、好きなモノをなんでも、と言っていましたよね」 「…は?ああ…はい。何か決まりましたか?」 バーナビーと“彼”の視線がぶつかり、“彼”は驚いて目を見開いた。 「あの男が、欲しい」 あの、まだ光を失っていない目を持つ男が。 「ほ、本気ですか?バーナビーさん…」 「好きなモノを…でしょう?」 「はぁ…まぁ、好きにして下さい。じゃあ、今日はここまでにして、引き返しましょう。宜しいですか、バーナビーさん?」 男はそう言うと、元来た道を引き返して行く。 途中、ちらりと“彼”に眼を向けた。 「…偽善か?それとも、謝罪のつもり?」 “彼”は小さく呟くと、そのままじっとバーナビーを睨みつけた。 案内人の男はバーナビーを残して鉱山を後にした。 彼は何を考えたのか。何が欲しいと…。 ゆっくりとバーナビーを見上げれば、金色に輝く髪を揺らしながら歩んでくる男に、“彼”の髪の毛を掴んでいた男がぱっと手を離した。 近付く影が怖くて、痛む身体を抱えながら、ジリジリと後ろへさがった。 壁にぶつかり、ビクリと背中を震わせる。 バーナビーは“彼”の前に膝を折って、腕を伸ばした。 「っひ……っ」 小さく悲鳴をあげる“彼”の頬をそっと撫でれば、軋む身体をぎゅと縮こませた。 ガチガチと歯を鳴らして怯え、強張っている様子の“彼”に小さく息を吐いた。 「…お前が……俺を殺すのか…?」 “彼”は震える声で言った。 この人は俺が欲しいと言った。 この人は俺をオモチャにして殺すのだろうか。 でも、頬を撫でる手は暖かく、優しかった。 「僕は…貴方を、貴方達を幸せにしてあげたいのです。…ただ、それだけですよ」 暖かく優しい手と、悲しく微笑んだ顔。 真っ暗な鉱山と赤い血の海に差し込んだ光。 差し伸べられた腕に、失ったはずの涙がホロリと零れた。 ***** 別の作品で書こうと思っていた話。 登場人物を兎虎に変えただけ。 どういう話を書こうと思っていたんだろう私は…。 ▲暗い闇の底で 2013/01/12 02:20 ← |