● ● ● 保健室に2人の教師が入ってくる。 「確か、お前は…」 ● 「1年宇宙科の転校生、だよね?」 近づいてくる教師に、恐怖を覚えた。 ● 前の学校ではこんなに簡単に人に会えただろうか。 ● 会ったとしても、目を逸らされたり近寄ってこなかったのに。 ● やはりこの学校はおかしいよ。 ● 放課後になってもなかなか帰らないし… 「……やめて、…話しかけないで…っ」 ● 「!!!」 怖くなって、下を向いて小さく呟く。 ● 何で人の心を読むことはできないのだろうか。 ● どうしてこんなにも私が拒んでいることに気づかないのだろうか。 ● 私の心に気づいてくれる人は現れないのだろうか 「どうかしたのか?」 陽日…だったか、そんな感じの名前の教師が俯いた私を見て心配してきた。 ● それを見た星月は思い出したかのように話しかけてくる。 「…あー、気分はどうだ?」 ● 「……………大丈夫、です」 ● 「そうか。じゃ、授業行って来い」 そう言われて、静かに頷いた。 ………もしかして、助けてくれた? ● だとしたら、この人は良い人かもしれない。 ● この人なら…信じれるかもしれない。 * 今はもう2時限目くらいだろうか。 ● 詰まった気分で教室のドアを開ける。 「〜で、あるから……」 何と言うことだ。まだ授業をしていたなんて…。 ● 目立たないように自分の席に向かった。 「あ、紗夜帰って来た」 ● 「良かったのだ〜」 木ノ瀬と天羽がそう言った。 ● 私は何事もなかったように席に座る。 「不知火紗夜!」 ビクッと体が震えた。 ● 何かと思ったら、教師が私の名前を大声で呼んだみたいだ。 「…………………何」 ● 「お前、今までどこに行ってた?」 ● 「…………気分が悪くなったから、保健室に」 ● 「教師の許可無しにか?」 ● 「…………そんな余裕なんてない」 ● 「そうか?屋上で見かけた、って話を聞いたが…」 ● 「…………その後に行った」 「授業中に屋上で見かけた、って話を聞いたが」 ● 「!!!」 「まずお前は何なんだ、その左目に巻いている包帯は」 ● 「…………アンタには関係ない」 ● 「その包帯、今すぐ外せ」 ● 「無理」 ● 「外せ」 ● 「嫌だ。外さない」 「外せと言ってるのが分からないのか!!?」 ● 「嫌だって言ってんだろうが!!!!」 ● 「〜っもういい、俺が外す!」 そう言って教師は私のところまで来て、無理やり包帯を外そうとした。 ● 私は必死に包帯を抑える。 「嫌だ…、痛い…!」 ● 「外さないのがいけないんだ!」 包帯を取ろうとする教師に、拒む私。 ● クラスメイトはそれを見て止めようとする。 ● でも教師が、クラスメイトをどかして近づけないようにした。 「先生、止めましょうよ!」 ● 「紗夜が痛がってるのだ!」 ● 「うるさい、こいつが包帯を外せば良い話だ!」 髪を引っ張られて痛い。 ● でもこの包帯だけは絶対に外したくない。 思い出してしまうから ● 過去の出来事を。 ● もう変えることのできない現実を。 ● 肯定されてしまった過去を。 そしてついに、包帯が緩んでしまう。 ● 教師が緩んだ包帯を取る前に、包帯を外れないように目に当てる。 ● それでも教師は無理やり取ろうとする。 もう無理だ。でも取られたくない。 ● だけどこのままでは…。 ● 嫌だ 嫌だ ● 助けて、助けてっ 「助けて一樹ぃ!!!」 無我夢中で叫んだ。 ● そんな私の声と共に、教室のドアが思いっきり開く。 「紗夜に触るな!!!」 助けてくれない、なんて…嘘。 ● 呼んだらいつもすぐに来てくれる。 私のたった1人の、大切な人。 |