第1Q「初めまして」



時は4月。
秀徳高校に何十回目の春がやって来た。
今日は入学式。生徒の誰もが期待する日。

3年生にとっては最後の1年。2年生にとっては初の後輩ができるのだ。

『まもなく、入学式が始まります。新入生、及び保護者の皆様は…』

放送委員による放送で、一斉に人が体育館へと向かう。


「おー、すっげ…さすがは秀徳!って感じか?」
ケラケラと笑う男の子。

「…今日のラッキーアイテムは昔の制服なのだよ」
なぜか制服を持っている緑髪の男の子。



そして――――――――


「………ここが、秀徳…」
可愛らしい鈴の音が、校庭に響き渡った。





体育館では、入学式が行われていた。
長い校長の話に呆れている2・3年生。真剣に聞いている新入生。

『新入生の諸君、君たちの成長を大いに期待しています』

校長の話はやっと終わり、舞台から降りていった。
そして、次のプログラムへと進んでいく。

『続きまして、新入生代表挨拶』

新入生の中で1番の成績を持つ者が挨拶する。
つまり、受験の結果で1位だった人の挨拶ということだ。

『新入生代表、1年4組、高尾美羅』
「はい」

透き通るような声。
一斉に舞台に視線が集まった。
名前を呼ばれた女の子は、階段の1段1段を丁寧に上っていく。
彼女が1段上がるたびに、リン…と鈴の音が響いた。


やがて舞台の真ん中に立ち、透き通る声で分を読み始めた。
スラスラと透き通る声で流れるように読んでいく。
気がつけば、女の子は礼をして舞台から降りていった。

綺麗な漆黒の髪を靡かせながら。





入学式が終わり、クラスでの自己紹介も終わり、
気がつけばあっという間に放課後だ。
部活勧誘にものすごく力を入れていた。
…別に力を入れなくても、自然と集まってくるところだってある。
特に、バスケ部…とか。
秀徳高校バスケ部は「東の王者」と呼ばれるほどの強豪校だ。
嫌でも自然と集まるのは当たり前だろう。
そんな集まった人数が…夏過ぎたらどれくらい減っているのか。
まあ、そんなことは置いといて。
どうやら噂のバスケ部がいる体育館に、かなりの大物が現れたらしい。


「帝光中学校出身、背番号は7、緑間真太郎だ」
「陽南中学校出身、背番号は4番、高尾美羅です」


緑髪の男の子は必要なことだけ話し、
漆黒のセミロングの女の子は「初めまして」と微笑んだ。











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