週に一度、放課後の時間を使って行う委員会の集まりがある。その委員になっているナツとルーシィ。
ナツからの頼まれ事とその強引さに負けたこともあり、女子のクラス委員を引き受けた。
成績優秀で常に真面目なルーシィがどうして、問題を起こす彼の頼みを嫌々ながらも聞き入れて特別視しているのかには、少々事情があった。
ふとしたことがきっかけで、ルーシィの“ある秘密”が彼にバレてしまったからだ。

悪巧みをするような彼である。
その秘密をネタに何かしてくるのではないかと始めは気が焦っていたが、ナツは予想外なことを口にして彼女を驚かせていく。
ルーシィは自分のことを騙しているのではないかと警戒をしていたが、徐々にナツとの距離を縮めていくことで、いつの間にか薄れていた。
そして、同じ時間を共に過ごすようになり、自然と一緒に居る彼の気持ちが知りたいと思う自分に戸惑っている頃、
ナツもまた同様に彼女のことを意識し始めていた。
だが、意識しているとはいえ表情一つ変えないところが不思議であった。
普段通りで、何か企んでいるかのような笑みを見せるナツ。

出会った当初はどこかぎこちない二人であったが、今では口喧嘩をしながらも仲が良い。
笑いが絶えないことで、お互いが惹かれ合っていることは誰が見てもはっきりとわかった。
素直になれないことが原因なのであろうか、最近はすれ違う日々。
どちらかが想いを伝えることで二人の関係はすぐに変わるのに、と二人の共通する友人たちは口に出して、溜め息を吐いていた。

ナツが期待をさせるような発言をしてもルーシィは、照れてはぐらかす。
彼の言葉、行動を本気だと思えないことで気付こうとしない。
ルーシィが遠まわしに投げ掛けたアピールも、今度はナツが鈍感すぎてこちらも気付かずにただ嬉しそうに笑うだけであった。

そんな状態が続く中、何度か行われてきた委員会の席で、初めて隣に座ることになったふたり。
今週はクラスごとで話し合わなければいけない内容であったため、机をくっつけて隣同士になる。
そして、ふたりは毎回騒ぎを起こすクラス委員だとレッテルを貼られていることで、自動的に一番後ろの席に座らされた。

普段はクラス別で男子と女子、分かれて座るため、クラスが一緒でも隣に座ることはできなかったことで、初の委員会の際にそのことを知ったナツは、

「ちぇっ、…つまんねえの」

と、愚痴を零していたのだ。

「決まりなんだから、そんなこと言わないの!」

ナツを宥めて、ルーシィは離れて行く。
席に着いた途端、目の前から視線を感じてそちらへ向くと、相変わらずツリ目ではあったが今まで見たことのない真剣な表情をしたナツが、自分を見つめてくる。

『…ナツ?』

と声には出さずにパクパクと口を動かしたが、彼はこちらを見続けているだけで反応はなかった。
その頃のルーシィは、意味が分からず首を傾げて疑問符を浮かべていたが、彼に対する自分の想いを少しずつ受け止めようとする今では、あの時の彼の言動に頬を染めてしまうほど、意識している。

――ナツの気持ちが知りたい。

ペン先を口元にあてて、遠い黒板を眺めているナツの横顔にルーシィはチラリと視線を向ける。
先程まで膝の上に置いていた彼の左手が動いて、ぶらーっと下に伸ばされていることにふと気が付いた。
自分たちが座っている席は幸いにも、他の生徒には見えない位置。机の下なら死角になり、全く問題はない。
深呼吸をしてから、紋章の入った右手を目的の場所にそっと伸ばしたが、勇気が出ないため指が触れそうになった距離で引っ込めてしまった。

――あたしには、できないわよ!…恥ずかしいじゃない。


ナツに気付かれてはいないかと気にしながらも、横を向けず窓の方へ顔を背ける。

すると、短い丈のスカートに置いたはずの右手が温かいことに気付き、隣にいる彼の方へゆっくり向くと、頬を真っ赤に染めているナツと視線がぶつかった。
口を尖らせてギュッと力強く握ってくる彼の隣で、照れつつも微笑んでいるルーシィの足元にペンが転がって落ちていく。

「「あ、」」

と小さく声に出して、握り合っていたそれを同時に放した。

椅子を下げて拾おうと屈んだ彼女はその瞬間、一緒に屈んでいた彼のことに気付かず、突然の至近距離に慌てている。
ナツが何かを言い掛けていたが、その言葉が耳に届かなかった。
ルーシィは思い切り額を机の端にぶつけてしまう。良い音が教室中に響いた。

「うお!…ルーシィあぶねえぞ!って、…おまえ聞いてなかったのかよ!?」

と、口にする彼に半泣きで睨むルーシィ。周りの視線もおでこも痛い。
笑いを堪えて自分の席に座り直すナツを見ながら、赤くなった額を撫でて、大人しく席に着いた。

――まだ笑ってる…もう!ナツのバカー。

悔しい気持ちを押し込めて、何事もなかったように振る舞い、提出する用紙を見せて彼の名前を呼ぼうとそちらに顔を向けた一瞬、何が起きたのか分からずに。

目を大きく見開いた状態でルーシィは固まってしまった。







ナツはルーシィに、いったい何をしたのでしょうか?


妄想…

・赤くなった額にちゅっ。(消毒も兼ねて?)がしっくりくるのか。
・いたいの、いたいの…飛んでけ!(でしたっけ?)そんな感じのことをナツがする。(あまりイメージできませんが)
・その他(みなさまの想像力にお任せ)





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