オレのヒロイン
「きゃっ」
「ルーシィ!」
ナツは目の前で転びそうになった彼女の右手を掴んだ。
「ありがと」
「おう」
掴んだその手はそのままに――彼は冷たくなっていたルーシィのそれを包んで魔力を込める。
「あつっ!」
「わ、悪ぃ…」
「もう…、アンタは加減というものを知らないんだから」
怒ったような口調で、ルーシィがナツを睨んだ。
ようやく繋がれた手が離れてしまったことで、寂しそうに眉を下げる彼に、彼女は優しく微笑む。
「きれーい。…ね、ナツ!」
昨夜から降り始めた雪を見て、でも寒いわね、と笑って白い息を吐き出すルーシィ。
ナツは、楽しそうに笑ってくれる彼女を見つめていた。
☆★☆★☆
ドラゴンが出るからきっとナツも楽しめるわよ、と連れてこられた映画館。
「良いなー、あたしもこんなヒロインになりたい…」
「……」
パンフレットを見ながら頬を染めるルーシィの横顔が眩しくて、その理由がわからず疑問符を浮かべていたあの頃。
思えばどんな映画を観たって――
ヒロインだと言われている女優がルーシィに見えるんだ。
☆★☆★☆
仕事を終えた後、ナツと相棒の青い猫はルーシィの家にあるソファで寛ぐ。
「ナツ、この小説面白いのよ!読むから聞いててよね」
「んあ?あー…オレ眠ぃんだけど」
「何か言った?」
「…言ってねえ」
お腹が膨れて眠っている青い猫を起こさないように、ルーシィはベッドへ移すと、ナツの隣に座って読み聞かせる。
「それでね、このヒロインが主人公を庇って…」
「……おぅ」
興味のない本の内容を聞いても耳に届かないけれど、彼女が憧れている物語の主人公とそのヒロインのことだけは頭に入ってきた。
『守られるだけじゃイヤなの。一緒に仲間を守りたい。』
ヒロインのセリフが、ルーシィの想いとして伝わって来る。
いつの間にか、オレはそのヒロインの名前をおまえに重ねてるんだ。
オレにないものをおまえは持ってるから――。その強さにも、オレは惹かれていったんだぞ。
ルーシィがふと遠くを見ている時、何を見ているのか気になって――。
大きなその瞳に何を映しているんだろう、と怯えることもある。
今でもイグニールのことを思い出すと涙が出るから。
そんな時にオレの隣で笑顔を見せてくれるのは、いつだって――おまえがいい。
全部、全部ルーシィがいい。
無意識に――ルーシィがいいな、と思う自分が居て。その気持ちに気付いたのは数日前。
そんな事を考えていた時、
「…ねえ、ナツ?」
「………なんだ?」
ルーシィに名を呼ばれたことに気付き、マフラーを握っていた力が緩む。
真剣な瞳を向けてきた彼女と目が合った。
「…あたしのヒーローはアンタだって、…ナツだって言ったらさ」
「あん?」
「ナツのヒロインは――」
「ルーシィに決まってんだろ!」
その返答に驚きながらも、嬉しそうに微笑んでくれた彼女を映して、オレも満面の笑顔をルーシィに見せた。
☆★☆★☆
某曲を聴きながらナツルー妄想をしていたのですが…全然活かされていないような気がします。うーん、でも言いたいことは書けたかな。それが伝わるかどうかですが…汗。
ナツ視点のお話が書きたくて進めていたのですが、このような出来になりました(-_-)
でも、脳内にナツとルーシィが居るとワクワクしますよね!
お礼の気持ちとして書いていたのですが…お礼になるのだろうか。
桜色にお越しくださり、いつもありがとうございます!
書きたいものがあってもなかなか思うように表現できず苦戦していますが、マイペースに執筆していきたいと思っております。共感していただけたら嬉しいです^^
もっときちんとしたものが書けるようになりたいなあ…。楽しみながら、今後も頑張りますね!
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