自分では全く気付いていないけれど、クラスの女子(他のクラスも)から人気者のナツ。
幼馴染というか…気が合うからなのか、理由はわかっていないが仲の良い女子のルーシィ。

ある時、家庭科の授業で“プチケーキ”を作ることになった。
(女子は家庭科・男子は技術?って言うのかな?男子と女子で授業が分かれている)

ルーシィはナツから

「ルーシィが作ったケーキ食べてえぞ!」と言われて、

「上手くできたら、あげるわよ」と答えていたが…




放課後、何人かの女子がクラスの男子達にプチケーキを配っているのを見掛けて、ルーシィもどうしようかと悩んだが、意を決してナツの方へ向かおうと席を立った。

ドア越しから見えるのは、クラスの女子達からケーキを渡されているナツの姿。

困っているようにも見えなくはないが…強引に渡されて、ナツの手の中にはケーキで溢れている。
それを目にして、自分のケーキは思ったほど良い出来ではなかったため、咄嗟にカバンへと隠して、そのまま気づかれないように教室を出て行った。



――しかし、

ナツが気づかないわけがない。

彼もまたカバンに、先程強引に?もらったケーキを押し込んで、金髪の彼女を追いかけて行った。

ルーシィは後ろからナツが追い掛けてくることは知らない。
ダッシュで走り、校門を通り抜けひたすら走った。
息が苦しくなって速度を落とし、トボトボと歩くように…。

「…ナツには、上手くできたらって言ったし…食べちゃってもいいわよね」

カバンから取り出して、口を付けた――ところで、

「ルーシィ!!」

突然背後から名を呼ばれて振り向くと、息を切らして眉を吊り上げているナツが近づいてくるのが見えた。

「おまえ、それ…オレのじゃねえのか!?」

何で食ってんだ!と、すごい剣幕で横取りされる。
負けずとルーシィも口を開いて、

「ナツはたくさんもらってたじゃない!もう十分でしょ。それはあたしが食べるの!」
「…見てたのか?オレは、いらねえって言ったんだぞ!けど、あいつら…」

「あたしが作ったのより美味しいわよ!…だからそれ、返して!!」
「イヤだ!!」
「ナツっ!!」

「…ルーシィは、これ見ても何とも思わねえのか?」

カバンの中身を見せて、彼女を見つめる。

「…美味しそうよね、あたしのより形もきれいだし。ちょっと潰れてるけど…ダメじゃない、ナツ。大事にしなきゃ!」

「はあ?――オレが言いてえのは、そうじゃねえし」
「何よ!?」

「ヤキモチ…、妬いてくれねえのかよ」
「っ!?」
「あいつらには悪ぃけど…オレは、おまえからもらいたかったぞ!」
「……」

「だからよこせ!」
「あっ!!ちょ、ダメ…」

「ん、あめえな。けど、うめえぞ!ありがとな、ルーシィ」(ニカッ)
「もう、勝手なんだから。…みんなからもらったそれも、ちゃんと食べなさいよね!」
「おう!…あ、んじゃルーシィと食うかな」
「へ?」
「おっし。そうと決まったら、ルーシィん家行くぞ!」

「何、勝手なことをって…ちょっと、ナツったら!手、離してよ!」
「なんで、嫌がんだ?…いつも手、繋いで帰ってんじゃねえか」
「そ、それは…」

「ルーシィ?」
「ナツの手、あったかいんだもん!」
「お?……そっか、なら離すなよな」






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