瞑目する群青

御神には多くの使いがいる。そのなかでも、御神の傍らに侍る、もっとも近い三名を、三常侍と呼ぶ。現在その立場にあるのが、パピロン、フリュイ、ボンである。
パピロンはしばしば聖女フォンテーヌに歩み寄る。御神とフォンテーヌの媒介のようになっていた。本来ならば、御神と聖女は直接コンタクトをとる。それが変わっていた。三常侍はその秘密に気づいているが、フォンテーヌは知らない。妄信的な彼女は、まだ森にやって来たばかりだ。
フォンテーヌは騎士を持とうとしない。それゆえに自ら剣を握り、森を歩く。その様子を、ボンがおもしろそうに眺めていた。おもわず声まで上げそうになるのを、フリュイが諌める。
「おかわいそうに」
「フリュイ、お前も、残酷なやつだ」
「口を慎みなさいな、ボン」
失礼ですわね、とフリュイは言った。しかし、怒っているような色はない。
「どちらも悪趣味です」
二人の後ろに、パピロンが降り立った。また、例の役目を果たしに来たのだろう。二人は左右にわれ、道を空けた。どうぞ、お通りください。パピロンはそれが自然だと、二人には目もくれなかった。
「パピロンだって、十分に悪趣味だな」
えぇ、えぇ、とフリュイが頷く。だいぶ、意地の悪い笑顔だ。パピロンも理解しているはずなのだ。それを承知で、ただ隠し続けている。

御神の住まう神聖な森でも、ほの暗い秘密が多数ある。それを少しずつ解き明かしていこう。きれいな青は、わずかに濁っていた。




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(藍日)



 

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