天気予報外れてどしゃぶり


 たしか、朝の情報番組では、曇りのち晴れと伝えていた。お天気キャスターのお兄さんが、降水確率は20パーセント、と言っていた覚えがある。晴れ? 降水確率20パーセント? 嘘つきだ。空は分厚い雲に覆われ、土砂降りの雨である。
 時間は放課後、場所は昇降口、目的は帰宅。周囲をよく見ると、ほとんどの生徒が傘を持っていた。あれ、もしかして、傘がないのは私だけなの? やっぱり、今朝のお天気キャスターが悪いのだ。勝手に自己完結をして、平塚はため息を吐いた。見た目は、まるで可哀想な人である。外は大雨、私の心も大雨……
「声に出てるぞ、平塚」
 話しかけてきたクラスメートの顔を見て「あら、やだ、私ったら、恥ずかしいっ!」などと反応をするわけもない。現実には、「ちっ、見やがったな」と、可愛げもない言葉を言った。
「女の子らしからぬ発言だな、あと行動も」
「うるさいですよ、澤山くん。モテなさすぎて泣けちゃう澤山くん」
「お前もうるさいし」
 平塚の憎たらしい発言も日常茶飯事と化している。そのせいか、澤山は気にした様子も見せずに、鞄から折り畳み傘を取りだした。否応なしに、平塚の目は、その傘を追ってしまった。澤山もそれに気づいたのか、傘を開いたまま、玄関で待っていた。誰を? それは言うまでもない。
「はいんねーの?」
「……まぁ、あんたがどうしてもと言うならば、入ってであげてもよろしくてよ?」
「やっぱり、可愛くないやつ」
 要するに、澤山はできた男の子である。ずかずかと入ってきた平塚に、さりげなく傘を傾けていた。自身の肩が濡れてしまっている。そんな細かいことに、平塚が気づいているかどうかは不明である。
「第一、折り畳み傘なんて、持ち歩かないもん、私」
「じゃあ、そのままでもいいんじゃね?」
 俺が持ち歩くから、そこまで言えたら、最高に格好良かったかもしれない。まだ、言えない。だから、どうか察してほしい。
(また、雨、降ってくれないかな)




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Pochi
雨シチュ、大好きです、王道ねたも、大好きです。



 

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