ノン・ブレーキ・チルドレン

もう一人、受験生が存在していた。

■紫さんが入室しました。
遷:タイミングがいい、今はあいつもいないからな。
ユウヒ:ばしょん様のことですの
紫:ちゃおちゃお(≧∇≦)
遷:ちす
紫:朝っぱらからログインしちゃうくらい、だいぶ暇なんだよねぇ(・ε・` )
遷:勉強しろ。
ユウヒ:申し訳ございませんわ
遷:悪かった。謝る。
ユウヒ:いえいえ、もう少ししたら、ユキオ様と勉強会の予定ですので、失礼しますわね
遷:おう、気張りすぎるなよ。
紫:ユウヒさんえらーい(^m^)
遷:お前も勉強しろ、お前だって学生だろ。
紫:紫ちゃんは成績優秀だもんね!!
ユウヒ:ちょっと疑ってしまいますわ
■ユウヒさんが退室しました。

紫:ほんとに、頑張ってるもん(*´・ω・`*)

パソコンのキーボードを叩きながら、ハンドルネーム「紫」は一人ごちる。
パソコンを奥テーブルの上には教科書に過去問題集が重なっている。ふせんがはみ出しているそれらは、なかなかに使い込まれている。
六条葵、紫の中の人、中学三年生、成績はそこそこに、だいぶ厨二ぶったネット住民である。

ゆるい文化部所属の葵は、日曜日の朝だととくにやることもない。簡単に朝食を済ませて、チャットルームにアクセスしてしまう。これだけだとただの引きこもりのようだが、実際、自称引きこもり予備軍だった。
きちんと学校には通うし、授業も教室で受けているし、成績も申し分ない。だがしかし、いかんせん友達が少なかった。引きこもりたい、引きこもりたい、それが口癖だ。
部活動だって、いわゆる他の部活動に馴染めなかった生徒向けの、余り物集団でしかない。
これはもう、隠れオタとか、にちゃんねらーとかになるしかない。そこまでいかずに、チャットルーム「文学史上の何たら」の住民で落ち着いている葵は、まぁ、まだまだ一般人なのだろう。

■原白さんが入室しました。
遷:おはよう。
原白:おはよう、人が少ないな
遷:日曜日の朝だからな、仕方がない。
紫:私がいるから大丈夫だって(*´∇`)
原白:そうか、よくわからないが
遷:まぁ、ほっとけ。
原白:紫も女帝も学生だろう、勉強しないのか
紫:だから、私は優秀なんだもんね!!
原白:まぁ、女帝は心配なさそうだが
紫:(´・ω・`)
遷:弄りすぎたか、謝らないがな
紫:勉強より恋ばなとか、楽しいことのほうが好き
原白:なんだ彼氏いるのか、紫は
紫:私を狙ってたの!?(ゝ。∂)
原白:やめてくれ、おじさんをいじめるな
遷:勘違いも甚だしい
遷:というか、なんだ、もしかして
遷:原白さん、気づいてないのか
原白:?
紫:しっ!!!!
紫:女帝(´・ω・`)
遷:しゃーないな
原白:なんだ、仲間外れか。寂しいな
遷:あとでこっそりな
紫:女帝のいじわる(。´Д⊂)

ネット上でくらい、はっちゃけたっていいじゃないか。
「俺の楽しみなんだし」
キーボードを打ちながら、くだらないともいえるやり取りに夢中になる。相手がいる空間は、たとえネットでも、楽しいものなのだ。
六条葵、中学三年生、一年後は花の男子高校生。




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