高校生組の恋愛事情でございます


「何をしているのですか」
急に後ろから話しかけられて、夕陽の肩がはねた。三島だった。
朝の通学路でばったりと会った。何やら落ち着かない雰囲気の夕陽が、三島は気になったらしい。視線の先、コンビニの前には、二人のクラスメイトがいた。美術部の狩野だった。あぁ、と三島は納得した。
「迷ったときは、思いきることも大切ですよ、夕陽ちゃん」
ほら、と三島が夕陽の背中を押した。夕陽はおずおずと、狩野に近づいていった。

だりぃ、とぼやきながら、景観の落ち着いた街で、一人の高校生が歩いていた。時間は八時過ぎ。通学の生徒が多いなかでは、彼は目立たない。しかし、彼の制服が目立っていた。
「佐助、待ってよ!」
「……おい」
腕を掴まれて、彼は振り返った。うんざりだ。
「学校、逆だよ、そっちは昭子姉さんの大学だよ?」
「知ってる」
「じゃあ、ほら、行こう?」
「気づけ、サボりだ、阿呆」
「阿呆じゃないもん、ひなだもん」
「そうじゃねぇよ」
佐助は頭を押さえた。どうも話が噛み合わない気がしてきた。
とにかく、今日は学校をサボる。制服で出てきたのは、姉が少し怖かったから。いつものように家を出て、学校とは違う方向に歩く。佐助にはいい隠れ場所があるのだ。
「ひな、さっさと学校行け、遅刻するぞ」
「佐助も一緒」
めんどくせぇ、と佐助は言ったが、ひなは気にしていなかった。ひなは初めてのサボりだったらしく、意外と楽しんでいた。真面目な幼なじみを巻き込んだ罪悪感もあったが、それは彼女を見ているうちに忘れてしまった。
結局、二人で学校をサボることになった。さらに言えば、たまたまキャンパスを出ていた姉に見つかり、佐助だけが叱られた。

■吉田(仮)さんが入室しました。
ユウヒ:こんにちは、吉田様。学校は終わりましたの?
吉田(仮):今日はサボりだったのさ
原白:いばることでもないな
吉田(仮):ごもっともです。しかし、高校生のサボりにはロマンがあるのだ!
ユウヒ:あらまぁ
原白:そうなのか、ユウヒ
ユウヒ:私はサボったことはありませんわ
原白:すばらしい
吉田(仮):俺だって、いつもサボってるわけじゃないしな。今日は、そういう気分だったわけ
ユウヒ:気分ですか
原白:気分か
ユウヒ:気持ちはわかりますが、我慢も大切ですわよ
吉田(仮):そうだよなぁ。でも、まぁまぁ楽しい日だったな
原白:若いうちにやれることはやっておくべきかもな
原白:俺も、いろいろやっておけばよかったと思う
ユウヒ:若い、ですか…
吉田(仮):夢をもてるあたり、若いんだよ、きっと
ユウヒ:夢、ですか…
原白:まぁ、夢は、簡単には決まらないし、叶わないものだ
吉田(仮):原白さんが急にいい先輩に見えてきた
原白:もっと褒めろ
ユウヒ:先に失礼しますわね!
■ユウヒさんが退室しました。
原白:ユウヒにほめられたかった
吉田(仮):実はロリコン?
原白:それは違う
原白:ともかく、若いっていいよな
吉田(仮):そういうものか?
原白:自由だよ、若さは。学校とか、恋愛とか
吉田(仮):そう?

画面の向こうで、佐助はひなを思い浮かべていた。
「いや、ないわ、うん」




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吉田佐助=吉田(仮)
横川(よかわ)ひな
互いに高3



 

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