季節ネタ | ナノ

▼フラン生誕記念2017

!まだ本編では未来編の序盤ですが、初めての公式誕生日を迎えたということでカッとなってやってしまった


カチャカチャというフォークと皿がぶつかる音と、おかずを取った取ってないで騒ぐ兄と姉。食事の度に騒がしくなるのはいつものことで、フランスで祖母と二人暮らしをしていた時にはなかったその光景にももう随分と慣れた。「俺のハンバーグ返せって言ってんらろ!」「だから取ってねえっつうの!」
自分で食ったんだろ!となまえのグーが飛び、そこからどったんばったん。

「やめなさいお前達、ホコリが飛ぶでしょう」
「「だってこいつが!」」
「だっても何もありません。なまえ、そろそろ準備なさい」
「ったく…」

のそのそとキッチンに向かうなまえを、フランはフォークを咥えたまま見送る。いつもよりも少し豪華な食事が気になったが、たぶんいつも食事を作っている千種にいい事があったのだろうとあまり気にしないで残りのハンバーグを口の中に放り込んだ。
格段いつもと違ったところがない食卓。それはなまえが持ってきた皿の上に乗っているものが登場したことにより、フ
ランの中で一気に別格のものとなった。

「ケーキ!」
「全部ご飯食べてからな」

慌てて残っているサラダを食べる。いつもは苦いだのなんだのと言って触らないピーマンも、一緒に口の中に押し込んだ。好き嫌いしたからケーキが食べれない、なんて冗談じゃない。
「そんなに慌てなくても誰も取らねぇよ」と言われたって、いつもおかずの取り合いをしているなまえの言葉じゃ信憑性はこれっぽっちも無かった。

「食べました!全部食べ終わりました!」
「ん、じゃあどうぞ」

ことり、目の前に置かれたショートケーキ。恐らく料理は壊滅的だがお菓子作りは上手いなまえの手作りだろうそれは、白い生クリームに赤いいちごが映えていて、フランはぱあ、と顔を輝かせた。
なまえは同じようにほかのみんなにもケーキを配っていたが、全員の用意が終わるのが待ちきれなくて思わずフォークをケーキに刺す。ちょっともったいないのでいちごは最後に残しておいて、周りのスポンジから。すげえ食いつきよう、と苦笑混じりに漏らしたなまえの声も気にならない。

もしゃ、と最後の一口を食べ終えて、フランは満足げに息を吐いた。

(そういえばなんで今日ケーキ出たんですかー?)
(は?お前誕生日じゃん)
(…あ)

豪華な食事もケーキも、全部君のため

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