いくよ
「どうする?」
二度目の三月の問いに薮田は静かに頷くだけだった。
普段饒舌な彼のそんな反応に首を傾げ、三月は瓦礫の山に目を向けた。
「階段?」
「それは階段と形容しようにも見るも無惨であり、本来の機能をまっとうできる状態にはなかったが階段だった」
ごちゃごちゃと長い説明をする薮田の頭を一撃殴ってから、ひとこは瓦礫を指差す。
「邪魔なの」
「そう」
三月はしばしの無言の後、瓦礫を貪りはじめる。
先程からそう時間はたっていないが、少々の火傷を回復する為にエネルギーを消費したらしい。
瓦礫を食らう様子は異様だが、薮田は慣れた様子で見ている。
ひとこは微妙な気持ちになりつつも、火に囲まれ閉じ込められた状態ではどうしようも無いので眺めている。
舐めるように近づいてくる火に時折瓦礫を投げつけて、進行を食い止めるが、あまり効果は無い。
直ぐ様火は瓦礫すら食いつくし、こちらに向かってくる。
「あつい」
三月がもごもごと呟く。
がらりと瓦礫が崩れ、少しだけ冷たい空気が入り込む。
「急げ!火が向かってくる!」
いつもとは違う口調で算哲が言うと、ひとこと三月は素早く瓦礫の穴から階下へと降りた。

つづく
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