はこはこ
「わぁ〜面白いですねぇ!!」
涅槃は笑う。
ひどく楽しそうである。
ともすれば手でも叩いて喜びそうな状況だが、他はただただ無言を貫く。
悟はつまらなさげに形成された壁を見つめる。
悟、憂、喜、涅槃、全員が全員落ち着いていた。
きらきらとした硬質の箱は何かの能力だろうか。
悟はぼんやりとそう考える。
命は二の次に、ただ考えることの方が楽しい。
悟は表情こそつまらなさげだったが、今は楽しんでいた。
感情の起伏が少ない彼には珍しいことである。
ぺたん、と炭素で構築された壁に手を触れてみると冷たい。
宝石店で見るような綺麗にカッティングされたものではない。
これはむしろ地中に存在する時の状態に近いだろう。
しかし、この箱の寿命もそうそう長くはないだろう。
悟は主人の能力を思いだし、そう考える。
自分にはこの能力はなかったが、他の兄弟は定かではない。
この箱を崩しきるのはいささかもったいないような気がするが、生存の為には仕方がないだろう。
コンコン、と叩いてみて、反響する音を楽しんでみる。
「その箱の空気が尽きる前に決断しろ、死にたくはないだろう」
涅槃の笑い声がひどく耳につく。
ああ、やっぱりこの笑い声は嫌いだ。
不機嫌な表情を崩さず、悟はそう考えた。

続く
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