喜びと楽しみは少し似ている
喜は悟の車を追い抜いた。
かなりの障害物をなぎ倒してきたが、特に問題は無い。
あと数キロもない距離を走るだけのことだ。
こんなに簡単な仕事だけなんて、と喜は少しだけ拗ねる。
自分にはこれくらいしか任せられないということを感じるとなんだか残念だった。
それでも、道具として任務を全うするだけである。
喜は自分が道具としてしか見られていないことなどとうに気付いていたが、そこに反抗するような気持ちは微塵も無かった。
道具は道具らしく生きるのが最適だろうと判断したのもある。
「まあ、ぼくは楽しければなんでもいいやっ」
ハンドルを切る。
交差点を曲がる。
荷物満載のトラックは動きが鈍く、ゆっくりと向きを変える。
自分が走ったほうがここは速い、などと無駄なことを考える。
喜は近くに見えてきた研究所に向かって車を走らせる。
すぐ隣の車線に悟の運転する車が見える。
にっ、と笑ってから裏口に車を進める。
もう少しで自分の任務は別のものに変わる。
新しいことに思いを馳せると、喜は楽しくなった。
周囲を見れば、人は居ない。
自分が搬入までやらないといけないらしい。
はは、と乾いた笑いを浮かべ、喜は車を搬入口に止めた。

続く
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