煙は避ける仕様
「もっしもーし!喜だよー」
「喜か、運転中の通話は犯罪になるんじゃなかったか」
「そんなこといってられないよー、だってちょっとした緊急事態ってやつじゃない?これ」
「そうかな、俺はこんなことは日常茶飯事だと思うよ。普段は表面に出てないだけ」
「難しいことはよくわかんないけどさ〜、ちょっと面倒なことになりそうだよぉ」
「もったいぶらずに早く言えって」
「研究所の一部が火事みたいでさー、一般搬入口がちょっと都合悪そー」
「ばっか、そういうことは早く言えって。じゃあどうする?」
「考えてませーん!」
「考えておけよ、全く。じゃあ別口で搬入しよう。他の道あったろ」
「あるあるー、それくらいお安いよ!」
「よっし。そうと決まれば進路変更だな」
ぶつん。
電話が途切れた。
喜はそれまで繋がっていた現在の相方との会話を口のなかで復唱する。
近くに迫る研究所からは白と、それから灰色の煙が立ち上っている。
ところによっては黒にも見える。
面倒な煙には近寄らないのが吉だ。
喜はにこにこと笑いながらそれまで来ていた道を引き返す。
さまざまな木や、人を薙ぎ倒して走ってきたトラックは傷だらけである。
悟は先に行っだろう。
早く追い付かないと。

続く
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