漸化式の図示
「はいはーい、受け取っとくよー」
喜の運転するトラックに荷物がいくつか積まれていく。
大半はカモフラージュ用の箱だが、中には薬品等が入っているため、ただの空箱というわけではない。
勿論これを壊されると万単位で損害が出るのだが、喜にとっては至極どうでもいい。
トラックには一個だけ本物が紛れている、と喜本人は認識しているのだが、喜本人にすら箱の真偽はわからない。
荷台を閉じてから、にいっと薄く微笑む。
爬虫類めいた笑みは悪事の気配を感じさせる。
「上手くいったら褒めてもらわなくっちゃね。僕の存在意義を改めて示す一大チャンスだもの」
ふふふ、と笑い声を一人で上げている姿はいささか不気味である。
運転席に座り、シートベルトを装着する。
前方を確認すれば、数人の人が居るように見える。
「んー、邪魔だなぁ」
手を額に当て、日差しを遮るようにしながら目を凝らす。
白衣の人間と、私服らしき人間が数人。
喜の視力をもってすれば誰なのかくらいはわかりそうなものだが、彼は思考を放棄した。
「まあいっか!轢いても代わりはいくらでもいるよね!」
エンジンが駆動する音が鳴り響き、荷物を乗せたトラックは走り出した。
邪魔なものを薙ぎ倒そうとする車は敵も味方も関係なしに走っていく。

続く
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