λの照合
古式は廊下を走っていた。
がらにもない。
普段から運動は制限されており、どうにも身体パーツの動きが悪い。
もう少し油でもさしておくべきだったかと思いつつ、古式は走る。
最短ルートで動けば、相方に良く似た容貌の男がたっていた。
先程この男に呼び出されたのだが、何の用だろうか。
「拝島悟、何ですか」
あくまでも事務的に、情報を処理する。
悟と呼ばれた男は、黙って古式の腕を引く。
来い、そういった意思を汲み取り、古式は共に歩いていく。
案内された部屋は、いくつかあるカメラルームの一つである。
そこに写し出されているカメラの一つは砂嵐である。
あの一角がどんな場所かは把握している。
「壊されましたか。ログ下さい。照合します」
かたかたと音を立てながら、古式は差し出された映像に食い入る。
顔、表情、体格、あらゆる情報を脳内に蓄積していく。
次の瞬間、近くから紙を乱雑にひったくり、絵を描き始めた。
彼女の能力は、アウトプット性にも長けており、正確緻密に人相書きが出来上がっていく。
悟はひゅう、と口笛を吹いて感心した様子である。
「これ、探してください」
紙面を押し付け、古式はカメラを眺め始める。
あらゆるデータと照合し、次はどこに向かうかを演算しているのだろう。
悟はふらりと室内を後にした。

続く
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