「そう ふわふわしてる」
ふわふわというヤワラカイ言葉を具現化(という言葉に兎に角ヤワラカサはないが)したような笑顔を浮かべてめとほおぺたを真っ赤にさせた級友は宣うた


「ふわふわ してるのか」
「うん だからね 今の僕はほんとうの僕に成れる」

したらば普段な不断なオウルウェイズな善法寺伊作氏とは一体全体ナニなのであろうか?ぽこっと浮かび上がった疑念とか疑問とかそこらへんのもじゃもじゃは柔いが悪い俺の脳味噌で一瞬にして理解の域には達することは能わなかったので思考回路を速やかに遮断することにした 思考を開始するよりも終了させる方が得意だというのは如何せん特異かつ阿呆なのであろうが 全くを以ちまして反論の余地も御座いませんので大人しく目の前の酔っ払いさんのお話に耳を傾けようかと思うたり思わなかつたりするわけなのであり升 益々赤くなるみみとめとほほと嗚呼くちびるはもともと赤かった哉なんて 小さな部屋の小さな灯りのゆらゆらするのをじいと見つめながら思うわけです


「何時もの僕はね ほんとうの僕じゃないんだ」
「なら何時ものお前は何だって言うんだ」
「それは ね ええと あれだよ よくわからない ん だけど 今僕はゆらゆらしている から 世界はほんらい不安定なものであるのだから 今の僕が 僕だ ゆらゆらしている今この間だけ 僕はほんとうでほんとうのことを口にすること が 出来るんだ」

胡散臭い この一言に尽きる が 其のことが何か我が身にとってマイナスな事柄なわけでは無いし愉快極まりないと言わんばかりの口調で体躯をぐわんぐわんとさせつつ語る友人の姿は初見でありこれまた滑稽であるので聞いてやらむことは無い と 同時に得も言われぬ不安感氏がふわふわりとこんにちは 他人の腹の底を聞く時程好奇心と恐怖とに苛まれることは無いのでせうかどうなのでせうか

「伊作に隠しごとなんてなさそうだけどなぁ」
「ある 僕にも あるよ」
「なんだよ 言ってみろよ」
「世界はね ふたつあるんだよ」

其れは隠しごとなのだろうか? やけに飛躍した其れを真顔で告げる彼こそがほんとうの彼なのであろうか?

「向こうの僕と僕とは入れ替わっちゃったんだ なんでかは ええと しつねんして仕舞ったんだけれど 僕はほんとうは二番目の僕なんだよ 初号機(?)ではなくて 二番の ほんとうの僕だけどほんとうの僕じゃない 君と君達と出会うべくしてうまれたほうの僕じゃない んだ」
「・・・は」

間の抜けたこえが出た は ぐらぐら ぐらぐらする 全く以て 意味が不明だ ??????????????????????????????これまでの人生に於いてこんなにもクエスチョンマアクとやらが乱立する経験はあったであろうか??? ぐらぐらする頭を押さえれば世界と自分の回転を感じる
開 展

「ちょ っと 意味が わかんねぇ けど」
「今は解らなくても いいよ」

そのうちきっと解るよ と ふふ と 笑った時の彼にはもう 妙な揺れは微塵も無く その事が一層俺の思考の混迷と試行錯誤とを増すのでした



あたまよわい保健委員長と晩酌
いさっくんは異世界の子

非公式ツアーに御座います(善法寺伊作と食満留三郎)
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