よく晴れた空はホログラムではなく本物の青空だった。眩しい太陽に負けじと光り輝いている園児たちは、全員でお遊戯のダンスを踊っている。顔をゆるませっぱなしで見ている智己さんの横で、縢と宜野座さんは真剣にカメラを構えていた。なんでもハイスペックな家庭用ビデオカメラらしい。



「こっち向いてー!そうそう、可愛いよ!」
「縢、うるさいぞ!声が入るだろう!」
「そういうギノさんの声こそ!っあ!今の見た!?」
「ああ──これは永久保存版だな」
「もう、静かに見られないんですか」



朱ちゃんは一瞬だけ頬をふくらませたが、すぐに視線を戻した。弥生さんも微笑んだような顔で小さな子供たちが一生懸命踊るのを見て、騒ぐ縢の頭を静かに叩く。ちぇっ、と唇を尖らせた縢は、すぐに大きな目をカメラに押し付けた。そんなことをしなくても今は自動で録画してくれるというのに、自分で確かめなければ気がすまないらしい。
ゆるんだ顔で愛娘の成長を見ていた智己さんは、ダンスを終えた園児たちに惜しみない拍手を送った。そのまま立ち上がって、運動会にぴったりな天気のなか、お弁当を楽しみに走ってくる娘を出迎える。
弥生さんと朱ちゃんとお弁当を広げながら、世界で一番美しい名前を呼ぶ。お母さん、と呼ぶ声が智己さんを引っ張ってくるのを、両手を広げて受け止めた。



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