※現パロ


「おっはよーーーサスケくーーーん!!」

喧しい叫び声と共に背中から抱きつかれる。山中だ。後ろから春野の叫びも聞こえてくる。
クラスで美人だなんだと言われてるこの二人だが、俺は興味がなかった。山中の腕をやんわりと解きながらあいつの、なまえの方を見やる。

「そう、シカマル上手いじゃない」
「さっすがシカマルだねぇ」
「チョウジも上手かったよー、ただシカマルは頭いいからね。最善手がどれかすぐわかっちゃうのよ」
「くだらねぇ、と思ってたけどこれ、イイな」

囲碁を三人で囲んでたしなむなまえの横顔が、俺に気づいて振り向いた。サスケ、とその口が動くと俺の心臓が少し跳ねる。
兄さんは言っていた、恋はするものじゃなくて、落ちるものだと。落ちてから一人の男としての第一歩を踏み出すのだと。だとしたら俺も男としての一歩は踏めていると思う。
シカマルとチョウジに手を振り俺に近づくなまえ、茶色の髪が揺れて、制服のリボンも舞うように揺れて、あぁだめだ俺こいつが大好きだ、くそっ。

「相変わらずモテるわねぇ、サスケ」
「からかうなよ。…今日、兄さんと飯食いに行くけど、来るか?って兄さんが」
「本当?イタチ先せ…じゃなくて先輩が…」

なまえは家庭科部の一人だけど、団子を作っては兄さんに食べさせていた。兄さんが合格を出せるお団子はそうそうなくて、彼女はその壁を乗り越えようと頑張っている。その結果、先輩から先生と格上げしたらしい。
兄さんとなまえは本当に仲がいい。本当の兄妹のように。

「…ケ、サスケー?」
「えっ、な、なに?」
「それはこっちの台詞よ…ぼーっとして」

なまえの手が俺の頬に触れ、熱?なんていう。触れているところに血が集まって熱が上がった気がした。

「すまない…で、どうする?」
「イタチ先輩には申し訳ないけど…今日はサスケと二人がいい」
「えっ」

びっくりしてなまえを見ると、恥ずかしそうに、だって、と前おきをしてから耳元に唇を寄せた。

「私だって…サスケのこと、大好きなんだからね」

それはどういう、と言葉を繋ぐ前になまえが、じゃあ授業終わったら迎えに来てね!と笑顔で言った。可愛い。

「い、今すぐ行くぞ」
「!?いや授業は、」
「サボる」

半ば無理やり指を絡めて手をつなぎ、小走りで玄関に向かう。山中と春野が呆気にとられてるのを尻目に荷物を持って教室を出た。もっと抵抗するかと思えばにこにこ笑ってついてくるなまえに俺も呆れたように笑った。

「なにかあったの」
「あぁ、気分がいいからな」
「へぇ?…サスケって可愛「うるさい!」

そんな言い争いをしてると、いつの間にか目の前に兄さんがいた。にっこり笑ったまま俺たちの頭にひとつずつ拳骨を落としてきた。

「お前たち、デートは授業が終わってからにしろ」
「いったああああい!!イタチさん痛いですよぉ」
「当然だろ痛くなるようにしたんだから」
「兄さんには悪いけど、今日は特別な日だから」

なまえの肩を抱き寄せて兄さんを見上げると、兄さんが少し眉根を寄せた。ほう、としか言わない兄さんに一呼吸置いてから、

「今日は記念日だからな」


驚くなまえと兄さんを尻目に手を引いて歩き出す。なまえがサスケ大好き!!と叫んだのは恥ずかしいので無視することにした。


2014/12/15



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