「デイダラさーん、お昼ーーー」

そう呼びかけても、おーだのあー、だのしか彼は返事をしない。ため息をついて作業場に降りようと身体を起こす。
所狭しと彼の作品に囲まれた部屋。金の髪が楽しそうに動いている。

「サソリの旦那が早くって」
「ったく、相変わらず勝手だなぁ旦那は、うん」
「デイダラさんには言われたくないよ」
「どういう意味だっ!…それよりほら、見ろ!」

デイダラさんの手には小さな粘土細工。よく見たら見慣れた姿形をしていた。それが何かわかった途端思わず吹き出してしまった。

「あはっ、リーダーと姐さんだ」
「そうだ。なかなかうまいもんだろ、うん」
「アイデアに行き詰まったんだねー」
「それを言うなっ」

私とデイダラさんがからから笑いあってるとカラクリの音が後ろから聞こえた。振り向くとサソリの旦那が不機嫌そうにこちらを睨んでいた。

「俺は人を待つのも待たせるのも」
「すみません、旦那」
「…とゆか、今日はオイラがなまえと食事する番ですぜ、うん。旦那は先に行ってても…」

そこまで言って、そういえばそうだと思い出す。私は医療忍者だから戦闘力もそんななくて、暁の誰かとご飯に行くんだけど、今日はサソリの旦那と食べる予定じゃなかったはず。

「うるせぇ。俺が行きたいって言うんだからいいんだよ」
「なんだそりゃ。素直になまえが好きだって言えばいいのに、うん」
「!?デイダラさん!?」
「オイラはお前のこと大好きだからな、うん!」

…わ、若い。私はこの人より三つしか歳上じゃないはずだけど、こんなにも違うものなのか…。
呆気に取られていると旦那は更にむすっとしたまま、いいから行くぞ、だなんていう。

「今日は何食べましょうかー」
「ラーメンだな、うん」
「そば」

見事に意見が分かれ、二人が睨み合う。お昼を食べれるのはもう少し先になりそうだ。


2014/11/29



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