NARUTO 最終回記念





繋いでいる手が、汗をかきはじめて離れていくのが怖くなる。ぎゅうと手に力を込めどきどき高鳴る私の胸とは対照的にイタチの顔は冷静そのもの…だけど、その中に小さな笑顔を見せてもくれた。
いい加減慣れないと、もう、半年も経つのに。私がイタチに命を助けられて、恋に落ちて、もう半年も経つ。あっという間の6カ月だけど、思い出もたくさん詰まった6カ月だった。

「…そういえば。もうすぐ、なまえの誕生日だったな」
「覚えていたの?」
「当然だろ。…何がいい?」

イタチは私の肩を抱いて楽しそうに笑った。里の一番高いところから望む真ん丸の月を眺めながら、私も頭をイタチに預ける。

「…約束、して欲しい」
「約束?」
「私が…あなたが私の場合最後を見届ける時まで、生きてて欲しい、それだけ」

イタチが里と一族の板挟みになってることくらい、知っている。きっとイタチはもうすぐ私の手から離れる。私のそばから、いなくなる。
イタチは困ったように笑い、仕方ないなと頷いた。ぐっと重なる唇が、いつも以上に甘かった翌日の夜、イタチは血塗りの歴史を作り…村を去った。









「!!なまえさ…」

里の外の森で、サスケくんは驚いたように私を見た。それから何も聞かず、ただ頷いて私の手を引いた。

「サスケくん…」
「…あんたには、感謝してる。親も、家族を失った俺をここまで育ててくれた。…例え、俺が一番憎んだ相手の、一番大事な人間でもだ」
「そんなこと…あの人は関係ない。私は、あなたのことが本当に愛しいから、側にいたのよ」
「子どもと親…みたいなものだろ。ばか」

サスケくんが少し顔を赤らめた。…可愛い。

「…俺が今、暁として活動してるのを知ってここにいるのか?」
「私が何を望んでいるのか知ってるあなたなら…言う必要、ない」
「…わかった。行こう」

私を横抱きにしてサスケくんは走った。走るサスケくんの小さな、呟いた言葉に、私はごめんなさいとしか返せなかった。






「…終わった…」

イタチが倒れたのを見て、私は自然と走り出した。膝に乗せたイタチの顔は、安心したそれで。横で呆然とするサスケくんの横で、ひたすらに涙を流すしかなかった。

「…なまえ…」
「…!そう、だよ。約束、したじゃない…」
「…あぁ…」
「お疲れ様…あなたは、この世の救世主だわ…誰も認めなくても、あ、たしは、あなたを忘れない…!ずっとずっと…愛してるわ…」
「……も、あ……」
「!その言葉で十分よ…おやすみなさい…イタチ」

イタチが眠ったのと、サスケくんが倒れたのと。…私の胸を何かの剣が貫いたのは、ほぼ同時だった。

「…!?かはっ……」

私の口から出た血がイタチの頬を染める。雨でそれが流される。

「すまないね、おねーさん。サスケを育ててくれたことには感謝してるけど、サスケには真実を話さなきゃなんだよね」
「……イタチ、は…そんなこと…「知ってるよ。だから殺すんだ。…ごめんね」

倒れこんだイタチの身体は冷たくて、涙が出た。握っていたイタチの指に、少し力が入った気がした。

「…いま、いく…」

これもまた、いいかも知れない。二度とイタチを一人にはさせない。ばかなやつ、とイタチの声が聞こえた気がした。





「久しぶり」
「相変わらず、だな。これからどうする」
「そうね……じゃあ…とりあえず」
「とりあえず?」
「あなたの話、聞かせて欲しい」
「…長くなるぞ」
「いいの、聞かせて。…これからはふたりぼっちなんだから」
「…そうだな。さて…」

2014.11.13
長年お疲れ様でした 小学生の頃からずっと見てたので寂しくて仕方ありません
イタチさんは物語の中で一番好きな方です。同じくらい、サソリとペインも好きなのでいつか書きたいとは思います



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