※現パロ










「なまえ、はい!」
「ありがとうサクラ…!私も!」

そんなやり取りをしてお互いにラッピング袋を交換する。今日は一年に一度、女の子の女の子力が試されてしまうバレンタインデーというだけあって、義理チョコやら友チョコの交換が盛んに行われていた。
徹夜で頑張ったせいでとても眠い中、教室につくなり笑顔でチョコを差し出したサクラに無理やり笑顔を返すと、いつもの笑顔でサイくんがひょっこり顔を出した。

「なまえさんは、本命はやっぱり飛段さん?」
「当たり前でしょうサイ、それにあんたにはいのがいるから安心しなって」
「とはいえ、はい。余ったからあげる」
「なまえさ…!」

本当に嬉しそうなサイくんが口元を押さえて泣きそうになるから本当に面白い。いのちゃんそんな料理下手じゃないと思うけどな。そんなことを思ってると後ろから衝撃と体温がきて、何事か把握する前にチョコは手元から離れた。

「な、な!オレも欲しいってばよ!」
「んあ!僕もチョコ食べたい!!」
「ちょ、ナルト!チョウジ!」
「「チョコーーー!!!!」」

ナルトの抱きつきによる衝撃でサイくんに渡されるつもりだったチョコは空に投げ出され、バレーボールのようにぽんぽんと跳ね、すとんと着地したのは見慣れた人の手の中。

「飛段!」
「んだよなまえ、今年は手抜きだな!?」
「や、それサイくんたちにあげて…別に用意してあるから」

その言葉が不服だったのか飛段はチョコをまた空中に投げ捨てこちらへ歩いてくる。三人が群がる様子を見守っていたサクラは気を利かせて席を離れた。飛段は肩に担いできたやや大きめな箱をどん、と机に下ろした。

「な、んですかこれは」

言葉を詰まらせる私に飛段は不思議そうな表情を浮かべた。いや、ごめん不思議なのはこっち。だって今日は私にとって特別でもなんでもない日。いや、正確にはバレンタインで、私はこの人にチョコレートを作って包んで来たのだから他の女の子同様あとは渡すだけ、そんな日だったはず。だからこんな大きな箱に入ったプレゼントを受け取る理由、ない。
クラス中の女の子が注目する中(自慢だけど私の彼は学校でも、イタチやデイダラと並んで人気があるのだから当然だ)、肩に担いでいたプレゼントを私の机に下ろす飛段はとても満足そうだった。前の席の椅子に腰掛けニコニコする彼につられてニコニコしたけど、ちゃんと笑えてないと思う。

「…あの、なに、これ」
「は?だからバレンタインだろーが」
「いやいやいや!!…えっ、飛段てそこまで馬鹿だったの?馬鹿すぎない?」
「てめ、喧嘩売ってんのか!」
「飛段?お返しは三月にするんだよ?」

そう言うと飛段は物凄いドヤ顔でこちらを向いた。腹たつ。それから私の鼻をつまみニヤニヤしながら話し出す。

「角都のヤローから聞いたんだがよ、本来バレンタインって男から女に薔薇を贈るイベントなんだってよ!」
「わかったから、いた、いたた」

飛段の演説にクラス中の女の子が目にハートマークを浮かべている。そんな人混みを気にせず飛段は私の鼻を解放するとニッ、と笑った。

「おめーはおとなしく貰っときゃいんだよ。あ、でもその不味そうなチョコは俺が食うから渡すんじゃねーぞ」
「…えー、サソリさんにあげようと思ったのに」
「は?!だ、だめに決まってるだろうが!」
「不味そうならいいじゃん」

その言葉が頭にきたのか飛段は置いたばかりのプレゼントと私の手を取り教室を出た。放課後から部活へいく微妙にザワザワする時間帯、廊下はバレンタインなだけあって何処もかしこもカップルで溢れていた。たくさんの美男子とすれ違うけどやっぱ飛段が一番かっこいい!側からみたら強引に手を引かれてるのにニヤニヤする私は気持ち悪いことこの上ない。更に言えば私なんかが飛段と付き合っていることに腹を立てている他の女子や先輩方は怒り心頭だろう。
たくさんの人混みを掻き分け学校を飛び出し、いつの間にか二人でからから笑いながら走る。私の家の私の部屋が二人で過ごす最高の場所、そこにつくと飛段は改めてプレゼントを押し付けてくる。受け取ったそれは大きさに違わずそれなりに重く、ずっしりと私の腕の中に収まる。

「…はい、私のチョコレート。美味しくないし、こんなに立派じゃないけど「うめぇ!」

去年同様、渡した二秒後には飛段の口にチョコがある。彼はそれ絶対マズイマズそうと食べる直前まで罵りながらも受け取れば美味しそうに食べてくれるから、料理下手な私も少し安心する。今までの緊張感とは裏腹でなんだか肩透かしを喰らい腕の中の箱に視線を移す。

「…開けていい?」
「おー」

私が昨日三時間ほどかけて用意したもの全てを二分でペロリと平らげた飛段が、背中から抱きつき私の肩に顎を乗せ楽しそうに笑っている。どんな顔をしたら彼は喜ぶのだろう、そんな事を考えながら箱を開けると、

「ちょっ」
「な、なんだこりゃ!」

箱の中身は片方に偏ってしまっていた。そりゃあんな持ち方すれば仕方ないのだろうけど、たくさんの薔薇が敷き詰められていたであろうそれの、見るも無惨な姿に思わず吹き出してしまった。

「あーあー、台無し」
「気にすんなよバーカ!!…ほらよ」

薔薇の海から救い出されたそれは小さな卓上ライトと、小さな箱。卓上ライトの方はこの前飛段が家で暴れて壊したものと同じだから、償いのつもりだろうけどこの小さな箱は何だろう。
飛段はその箱を私から奪うと、勝ち誇ったような顔で首につける。…ネックレス、だろうか。鞄から手鏡を取り出してみると、首もとに小さな赤い花のネックレスがついていた。

「…可愛い…」
「だろ!?女の好みなんかわかんねーからよ、俺がお前に着けたいの選んできた」
「そっか、ありがとう!…似合う?」
「当たり前だろ、お前に似合うと思って買ってきたんだからよ」

ふんっ、と鼻を鳴らしてそっぽを向く飛段に吹き出す。自分から洒落たことしたくせに、今になって照れてきたのだろう。

「ね、お返し。何か欲しいものある?」
「は?チョコあるからいらねーよ」
「いやいや!こんなもの貰ったんだし、何かお返しさせてよ」
「そうだなァ」

ニヤリと笑う飛段はそのまま私をベッドに縫い付けるように押し倒す。あっけに取られた私にちゅ、とキスしてから言った。

「一発ヤってから決める!」

それは、どうなんだろうか。驚き続きの私はその言葉にも口を開けてなされるがまま。まぁ、彼が笑ってくれるなら良しとしましょうか。











2015/02/12
忍コレの飛段ちゃんかわいすぎか



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