「世界に痛みを」

そう言って神様は私を救い出した。私の手を引いて、お前の力が必要だと言って。ぼろぼろのままの私を世界から救い出してくれて。
そんなかっこいい人だと思っていたはずなのに。


「…リーダー、」

すうすうと寝息を立てるリーダーは私のコートをつかんで離さない。あの頃の面影を全く見せないリーダーに少し胸が高鳴った。小南さんに視線で訴えるとクスッと小さく笑い、

「ペインは一度寝始めるとなかなか起きないから、付き合ってあげなさい」

と、部屋を出て行ってしまった。小南さんが出て行ったドアからリーダーへ視線を移すと、未だにすやすや寝てるまま。
うまくコートだけ脱げないものか、と奮闘している間に小南さんが気を使って戻ってきた、と思ったら何か手にしている。

「…小南さん?」
「ただ座るだけでも暇でしょうから。私も付き合うわ」
「ありがとうございます」

小南さんが手にしてきたのは折り紙とお菓子だった。色んな折り紙を習う間に小南さんは私にいろいろ質問してくる。

「組織には慣れた?」
「そうですね…小南さんのおかげでだいぶ」
「そう、良かった。メンバーとはどう?」
「イタチさんや鬼鮫さんはとても良くしてくれてます。角都さん、サソリさんは…なんだかんだ気を使ってくれて。ゼツと飛段はいつも遊んでくれますね。それと…デイダラくんは…素直じゃないだけかなーと思います」
「男の子だものね。…ペインはどう?」

小南さんのその言葉にピタッと動きを止めてしまった。そのまま私の隣に眠るリーダーを見て、頬に熱が溜まっていく。

「…私の、命の恩人で、」
「……」
「小南さんとリーダーは…私にとって一番、大切な人です」

小南さんもビックリしたようだったが、すぐに笑顔でありがとうと言った。S級犯罪者とは思えない笑顔に私もつられて笑った。

「…だそうよ、ペイン」
「そうか」
「…は?」

小南さんの言葉と思いがけない声に思わずリーダーの方を振り向いた。小南さんはあとはごゆっくり、なんて言って部屋を出た。

「りりりりりりリーダー!?!?いつ、から、お「始めからだ」
「はぁ!?」
「お前が俺のことをどう思ってるのか気になってな」

よいしょと体を起こすリーダーにぽかんとした私。リーダーはいつもの無表情のまま私の隣に座った。

「な、んでそんな試すようなことを…」
「…秘密だ」
「…そう、ですか「ただ、」

リーダーの手が私の頭に置かれる。不器用にぐしゃぐしゃと私を撫でつけながら小さく笑った。

「俺もお前と同じ気持ちだ」
「…あの、それって」
「だからこそ、お前のためにも。…天下をこの手に掴もう」

そう笑うリーダーはやはり私の命の恩人で。一つ頷き手を握るとリーダーはもう一度私を撫でた。

2015/01/07



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