教えて?2 | ナノ




フェラしてほしい、と凌牙に請われた時、遊馬はそれが何なのか分からなかった。素直に聞き返せば、凌牙のモノを舐めるのだと教えられて、仰天した。正直、口に咥えるような部位ではないと思う。
「無理ならいいぜ」
腰の引けている様子に凌牙は引き下がろうとしたが、そう言われると逆に悪い気がしてくる。
「い、いい。やってみる」
何事もかっとビング、何事も挑戦だ。いつも遊馬を気持ちよくさせようとしてくれる凌牙が強請るのだから、きっと凌牙にとって、とても気持ちのいいことなのだろう。考えてみれば、凌牙は毎回遊馬の中心を舐めてくる。それと同じことをすると思えばいいのだ。フローリングに跪き、ベッドに腰掛けた凌牙の前に膝を進めた。
ところが、そこで遊馬は困ってしまった。こんな間近で凌牙の男根を見たことはなかったし、舐めろと言われてもこんな大きいもの、どこをどう舐めていいのか分からない。
「いきなり口に咥えなくていい。手で触ってくれ。下から上に……」
凌牙の指示に従って、緩く頭をもたげたモノを恐る恐る握った。温かくて、柔らかくて、硬い。不思議な感触だった。
「っ……」
そろそろと手を動かすと、凌牙が息を呑んだ。感じているらしい。そう思ったら嬉しくなって、遊馬は手の動きを大胆にした。片手で玉を揉んで、もう片方の手で竿を擦る。どんどん角度を増して勃起していく凌牙を見るのは面白かった。
「んっ……いいぜ、遊馬……」
目を細めた凌牙が頭を撫でてくれる。いつも怒涛のように遊馬を熱の中に埋める彼の、そんな顔を見るのは新鮮だった。翻弄される側の遊馬がそうしているのだと思うと気分が高揚してくる。行為への抵抗もどこかへ消え、遊馬は自分から凌牙のモノに口付けた。
「っ!」
瞬間、頭を触っていた凌牙の手に力がこもった。
手で触ったところをなぞるように唇を這わせる。双方の玉に口付け、竿を辿って先端に到達した。大きく張り出した部分を舌で舐めると、はあっ、と凌牙が熱い息を吐いた。
「これ、気持ちいい?」
ぺろぺろキャンディを舐めるようにしながら窺い見ると、凌牙はわしゃわしゃ髪をかき混ぜた。
「上出来だ。……もう少し、咥えられるか?」
「ん。こう?」
大きく口を開けて、亀頭部分を唇で挟んだ。口腔内で肉棒がビクリと脈打つ。
「くッ……!そう、歯を立てないように、舐めて……手はこっちを……」
一番敏感な部分を舌で愛撫し、呑み込みきれない竿の部分は両手を使って擦った。思っていた以上に大変な行為だった。歯を当てないよう気を遣うし、顎は疲れるし、手も休められない。けれどそれはいつも凌牙が遊馬に施してくれる愛撫も一緒だろう。遊馬が痛い思いをしないように解すのだって、なかなかの根気と忍耐を要するはずだ。
フェラ初体験の遊馬には苦しさが先立つ行為だったが、頑張って奉仕を続けた。すると、苦い液が滲み出てくる。
「ぅえっ……」
お世辞にも美味しいとは言えない味に、一休みも兼ねて口を離した。馬鹿正直に顔を顰める遊馬を見て、凌牙は額を汗で光らせながら笑った。
「マズイだろ」
「うん……。でも、凌牙は気持ちいいんだよな?」
「ああ。もうちょっと頑張れるか?」
「うん」
凌牙のものは完全に勃ちあがり、血管が浮き上がるほどになっている。そろそろイキそうなのだろう。いつもイかされてばかりだった遊馬は、自分の手で彼を絶頂へ導けることに興奮を覚えた。凌牙がしつこいくらいに感じるポイントばかりを愛撫してくる気持ちがわかった。
はちきれそうな自身を再度咥えて、舌を絡める。竿を擦り上げるペースを早くして、一生懸命奉仕した。遊馬の顔にも汗が浮かんでくる。ほつれた髪が頬に張りついた。それを凌牙が耳にかけてくれて、そのまま悪戯な指が耳朶を弄った。
「遊馬っ……集中すんのは、いいけど、こっちも見ろよっ……」
「ふっ……?」
咥えたまま見上げると、赤い顔をした凌牙が「くっ」と呻いた。
「やべ、上目遣いたまんねえ……!」
「んっ……!」
先走りの液が量を増し、遊馬は眉を寄せた。しかし口は離さない。凌牙の発する熱と、遊馬の口内の熱とが絡み合い、どんどん沸点へと近づいていく。
「出るッ……!遊馬、飲んでくれ!」
「ッ!!?」
上半身を折り曲げた凌牙が、強く遊馬の頭を掴んで熱を放った。覚悟はしていたとは言え、想像を超える量の液に呼吸を失う。喉が嚥下を拒否して、小さな遊馬の口腔内に苦い味が広がった。
「うッ……げほッ!!」
たまらず手の中に吐き出した。そうしてから、しまったと思う。まるで凌牙を拒否しているように感じて、口の中に残っていた分だけでも必死に飲み込んだ。ねっとりと絡みつく精液独特の味とにおいに、顔が歪む。
「バカ!無理すんな!」
慌てた様子でティッシュを取って、口元をぬぐわれた。今からでも飲むべきだろうかと迷っていた手の平のものも一緒に拭き取られて、正直ほっとした。
「ごめん、吐いちゃって……」
「仕方ねえよ。びっくりしただろ」
「うん……」
いつもゴム越しに体内で吐き出される感触しか知らなかった。精液があんなにマズくて、いっぱい出るものだとは思わなかった。
(でも、だからって吐いちゃ駄目だよな……)
飲んでくれと望んだ凌牙の思いに応えられなかったことが、心残りだった。
「慣れれば飲めるようになるかな……?」
「さあ……。つーか、またやってくれんのか?」
「だって気持ちいいんだろ?大変だったけど、凌牙がいいんなら、いい」
今回は失敗してしまったけれど、やり方は分かった。次はもっと上手くやってみせる。
それに、熱に浮かされた凌牙は割と可愛い。ああいう彼の顔をもっと見てみたかった。
「じゃあ次はお前の番だな」
「あっ……」
脇を持ち上げられて、ベッドに寝転がされた。覆いかぶさってくる身体にこちらからも腕を回す。
ふと視界の端に、事のきっかけとなった本が映った。先ほどキスマークをつけたところに、また噛み付いてくる凌牙の背中を叩いて止めさせる。
「なんだよ」
「あれ。貸してって言ってなんだけど……やっぱ捨ててくんない?」
正直、あれを見つけた時はショックだった。凌牙が意外とエロいことは身をもって知っているし、男子なら1冊や2冊持っているものだと聞いたこともあったけれど、本音を言えば嫌だった。
「……考えとく」
「ヤダ!捨ててってば!」
遊馬の痴態を思い出して抜かれるのも微妙な気分だが、他の女の人の裸で興奮されるのは無性に嫌だ。貸してほしいと言ったのも、凌牙の趣味を知りたいという欲求もあってのことだが、そのまま没収してしまおうかとも考えていたのだ。とにかく凌牙の手元からこういうものを引き離してしまいたい。
「わかった、捨てるから集中しろよ。せっかく盛り上がってたのに萎えるだろ」
言質をとって、ようやく安心して身を任せる。凌牙のことを信頼しきっている彼女は、裏で彼が「今度は見つからない場所に隠せばいいか」なんて考えているなど、夢にも思わなかった。



凌牙君だって男の子なんです!
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