天秤
アンタレスが乗せられる



「留守番は頼んだよ」


ただそこに坐すのみの存在だった。
だれも見ぬ。だれも聞かぬ。そこにあるのはただの代償。
ただの人形。ただの置物だった。






「聞いているのかい、」


ふと、考えたのだ。
いつのまにかすっかりと変わってしまっていると。
ふと、思ったのだ。そして、ふと、聞こえたのだ。

(………ああ、でも、声が。)






「…おや、どちらへ」


もったりと立ち上がる。
ああ、目が合ってしまう。これをずっと恐れていたというのに。
選ぶのは一瞬だ。不思議なことだ、あんなにも、恐怖していたのに。






「役目をお忘れですか」


急がなければいけない。
急かされている気がする。誰かが。息が上がる。
ああ、だめだ。振り向いてはいけない。そういうものだろう。






「…ああ、いってしまいましたねぇ」


こまったもんだよ。
恩も忘れて、自分勝手なこまったやつだ。まぁいいさ。
最初から死んでるような出来損ない、いつだって壊せるさ。







わかっちゃいないのさ。

あんまりにも溺れてることにも

やつが思ってるよりも

深入りしすぎちまったってことにも

単に…出来損ないだから、ですか


そういうことさね。
さらには厄介なことに英雄気取りで、自分が悪者になることが怖いときた。



なんだってそんなに…
あんな些末なことに身を捧ぐ必要性も理解できませんね。
逆も、ですよ。役目を捨てるに値しないでしょうに。




あたしゃ、あんたがいい子ちゃんで嬉しいよ。
あんたはそのまんまでいておくれ。あのゴミとは違ってさ。






もちろん、そのつもりですよ。











「お願いがあるんだ」


振り向かないで





















”ああ、よかった。”

























あったかい。
「…どうなされたんですか」
「…ううん、あのね、」



































「やぁ、オルフェウス。今度は振り向かなかったね」



「…あなたも大概、知識が豊富なことですね。」



「人の物語は、バカバカしくて面白いからね」


*

「…好きだよ。本当に。」
「…不審者」
「あ、ひどい。でももっと言ってくれていいよ」
「ストーカー。…本当にどうしたんですか?」
「さぁ。なんだろうね。呼ばれた気がしたからかなぁ。」
「……変質者」
「ふふふ、あー、あったかいなぁ。…あ。」


だらだら。
このあと山吹くんはおうちに帰り次第連続不幸に見舞われ、最悪死にます(微笑み)
主祭神に頼まれたお役目。それも結構大事なお役目。神様代行。
坐してる場合じゃねぇ!と言わんばかりに外へ飛び出すお兄さん。
主祭神に付き従う神主は激怒しましたが、主祭神は笑うばかり。
人の不幸はなんとやら。ですね。仕方がないですね。世の中そういうもんです。

ちなみに琴ちゃんと山吹の話を考えるときは銀河鉄道や人魚姫を思い浮かべてます。
あとは琴ちゃんのお名前にちなんで、琴座の話とか。そんなんばっかです。

もっと素直に告白できればいいんでしょうかね。
ちなみに化粧もそのまんまだと思うので、奴さんは見られたら恥ずかしいなとか思ってるんじゃないでしょうかね。
いじめてやるといいのですよ、はっはっは。

--随時編集--
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