ありきたりなはなしをしよう
よくある魔女と少年の話


手入れされた薔薇が咲き誇ろ孤島。
大きな洋館からずっと離れたところにある小さな小屋。
薄暗い小屋の中には誰もいなかった。
少年がなんだとつまらなさそうに部屋を出ようとした。
視界の端でしゃらりと金色の粒子が舞った。
次々と通り過ぎるそれに釣られるように少年が振り返る。
先程まで誰もいなかった部屋の豪華な椅子。
一人の少女が座っていた。

その少女は魔女。
幼い姿のまま長い時を生き続けた魔女。
長らく小屋に封じられていたひとりぼっちの魔女。
力を失って久しい魔女は少年を獲物に決めた。
少年がなぜそれを拒否しなかったのか少女にはわからなかった。

血を分け続けて魔女に少年が必要なくなったころ。
ちょうど少年は見計らったようにどこかへ行ってしまった。
魔女はまた一人だ。
小屋の中一人、薔薇を見るだけのつまらない日に戻ってしまった。




それから長い時間がまた過ぎた。

誰も来なくなった小屋の扉が簡単に開いた。
20年か、それとも50、いや、100年。
どれくらいかなど魔女は覚えていなかった。

扉をくぐって現れたのは一人の男だった。
変わらない魔女の姿を見つけて、目元を緩めた。
なんのようだ、と魔女がいう。
相変わらず椅子に座る魔女に男が傅いた。

そこで魔女はひとつ気がついてしまった。
目の前の男がかつて最もそばにいた人間の少年だと。
それからもう一つ知ってしまった。
少年が大人になり、変わってしまったことを。

なぜ、と魔女は狼狽した。
それさえもわかっていたとばかりに男が笑った。
これならばあなたを一人にすることはない、と。

小さく魔女が男を罵った。
その日から魔女は一人ではなくなったのだ。


そんなありきたりなはなし。








魔女様。これ以上年をとることはない。
うっかりであった少年からばっしばっし血を分けてもらって完全復活。
採血方法は結構乱暴。でもSっていうわけでもない。普通のツンデレ体質。
「今更なんのようですの…?…待たせすぎなのよ…!」
「ねぇーお腹すいたんだけどー!まだー!?」


少年は年を重ね、ようやっと人間から悪魔に。
不老不死の悪魔なら死なないからいけるかなと思って悪魔に。
ぶっちゃけマゾっぽい。結構皮肉屋だけど魔女様にだけべた甘い。
「魔女様をお一人になんてできませんからね」
「あーはいはい、ちょっと待っててくださいよー」

噂の採血方法:
腕から薔薇がにょっきり生える。血を吸う。
ぶっこぬく。いたい。けど少年は平気だったあたりマゾ。
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