冷たい指先の男///
頬を撫でられて目を覚ます。
しかし、目を覚ましたのは触れられたからではない。
頬を撫でた指先がひやりと冷たかったからだ。
相手が誰だかわかっていなければ、指先で触れられたのだとは思わなかったかもしれない。
それこそ、細い陶器が当たっただけだと勘違いさえしたかもしれない。
ぼーっとした意識の中で白い手が見えた。ともすれば、男性には思えないたおやかさのある指先。
頬を撫でて形を確かめるような、その冷たい指先。
「…… まんじゅいけ、くん」
赤い目が見えた。すぐに笑うように細められて、その瞳が隠れてしまった。
銀、いや白の整えられた髪が揺れる。
「起こしましたか」
まだ眠い。
しかし、彼はまだ冷たい指で頬を撫でてくる。くすぐったさに身をよじってもなお彼は触れたがる。
「まんじゅいけくん、ゆび、冷たいですね」
あぁ…いやですか?
彼がそっと手を離した。
mae/◎/tugi