「…なるほど」
ぱたん、と男が本を閉じた。
青空の下でその白髪は銀色に輝いて見える。
「これがあんたの記憶からすっぽり抜けてる略歴な。」
「了承した。」
「んで、俺たちは改革派ってそこに書かれてる方になるわけよ。」
「…なるほど。」
「あんたはどっちなんだ?」
「記憶になくてな、すまない。」
「いや、いいさ。よくいるんだ。解凍失敗とかは。」
「…そうか」

がしゃり、ともうひとり傍らの男の持つ銃が音を立てた。
赤い鎧のような装束はよく目立つ。それが証なのだと彼は言った。
傍らの白い男はどこか虚ろな目で力なく笑うだけだ。

「んじゃ、あんたの情報整理も終わったことだし、挨拶いこーぜ」
「あぁ。」
「名前も忘れてるっつったよなぁ……ポチとかタマでいい?」
「…殴るぞ。」
「じゃあシロ。」
「適当すぎるだろ」
「文句の多いやつだな!じゃあわかった、わかった。シルヴァ。ならいいだろ?」
「…まぁいいとしてやろう。」


コンピューターが一度停止し、希望の終末といわれた時代より300年。
再びコンピューターが稼働してから100年ほどたった、とある世界での話。

mae//tugi
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