あの親子も体外だけども、自分も相当だなと改めて思う。
親子のうちの一方は猟奇的趣味があったようで、時たまそういったことをやって楽しんでいるようだし。
もう一方に限っちゃ綺麗なものが好きだとかいってとうとう首だけ愛でる趣味に目覚めていた。
そんなのが二匹いる家はさぞ不穏な空気が漂ってることだろうと思ったが、行ってみると存外普通。
純和風でなかなか年季の入ったおうちに侵入してみれば、ででんと座敷牢にぶちあたる。
大きな大きな、羽の代わりに腕をもがれたかわいそうなのがいる、鳥かご。
中の鳥ちゃんはちょっと前に遊ばれたばっかりのようで、ぐったりぐってりと眠ってる。
以前よりもちょっぴり痩せた気がするが、どうせすぐ回復させられる。
この鳥の飼い主は…飼うならばとことん、のはずだから。

 振り返ればにこにこと笑顔を携えた青年の姿。
温和そうな顔のとおり、私や例の飼い主よりは猟奇趣味だとかそういうのはない。
が、代わりにその手に持ってるものは私たちよりおっかない。
「あぁ、遊びに来てたんですか」
「みっつんに会いに来たわけじゃないけどねぇ」
「また殴り込みですか?」
「そういうこと」
「なぐりこみ?」
今日こそは、と意気込んでいると、みっつんこと光成の手に抱かれていた生首がぼんやりと目を開けた。
眠っていたようで、起こしてしまったのは申し訳ない。
久しぶり、と声をかければ相変わらず綺麗な顔のままにこっと彼女も笑った。
「それじゃ、せいぜい全壊には気をつけて」
これからデートなんで、といって光成が足早に去っていく。手元の彼女もまたね、と一言。
それを見送って、すたすたと通りなれた廊下を歩く。
すぱーんと襖を開ければ、呆れ顔の例の飼い主がこちらをむいた。
「また君か」
「やあ、黒ぽん。是非とも一回死ね!」

今日も大破させられた。さっさと修理したらリベンジだ。
私のものに手を出した罪は深いことを思い知らせるまで、諦めるわけには行かないのだ。


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これもいつもの連中のおはなしですが、
かなり最初のころに書いた話だったりします。
イドルくん、全然勝てないよ!なおはなしで、
31戦くらいしたら一回くらい勝てるかもね?という話からできました。
このあとシリアス展開になったかもしれないし、やっぱりギャグ展開だったかもしれないし。そのあたりはご想像にお任せ致します。

即興小説お題【傷だらけの儀式 】より。

2013.06.27 移行

mae//tugi
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