いちにちめ綺麗なお花が大好きな女の子がおりました。 毎日綺麗なお花を探して、摘んでは病床の祖母のもとへ。 いつも嬉しそうにしてくれるので、お花を届けることが好きでした。
ある日のことです。 村へやってきた綺麗なお姉さんがいいました。 「青いお花を見つけると素敵なことがあるのよ」 それを聞いた別の誰かが言いました。 「そうだ、あのお花が大好きな女の子にも教えなくちゃ」
それを聞いた女の子は、嬉しそうに言いました。 「青いお花を探しに行くわ!だって、素敵なことがあるんでしょう?きっと、青いお花があれば、おばあちゃんも元気になるはずね!」 けれども、村の人はそれをとめました。 きっと女の子は入ってはいけない恐ろしい黒い森にまで行ってしまうと思ったからです。 女の子はみんなと約束をしました。 絶対に黒い森へは入らないと。
さて、女の子はお花を探して近くの原っぱに来ていました。 ここにはいつも綺麗な色とりどりのお花が咲いていて、女の子のお気に入りの場所だったのです。 けれどもどこにも、青いお花なんて咲いていません。 探せども探せども、そんなお花は見つかりませんでした。 「やっぱりただの噂なのかな」
夕方になり、女の子ががっかりして家に帰ろうとした時です。 「お嬢さん、何かをお探しかしら?」 と誰かが声をかけました。 振り向くとそこには、女の人がたっていました。 尋ねられた女の子は 「青いお花を探しているの。でも、そんなのきっとないんだわ。だって、見たことがないんだもの。」 と言います。 女の人はくすくすと笑って、女の子の手を握って言いました。 「幻の青いお花だもの、簡単には見つからないわ。でもね、大丈夫。教えてくれるわ」
女の子が手のひらを開けると、そこには青い花びらがあったのです! 「わぁ!嘘じゃなかったのね!本当に、あったのね!」 希望ができた女の子は、ぱっと笑って女の人にお礼を言おうとしましたが、すでに女の人の姿はありませんでした。 「…でも、教えてくれるって、いったい誰が?」 女の子がじっと青い花びらを見つめたその時。 不思議なことが起きました。
風もないのに花びらがひらりと空に舞い上がったのです! ひらひらと舞う青いはなびらは、女の子の前で漂ったかと思うと、すぐにどこかへ向かって飛ばされてしまいます。 「あっ!まって!」 慌てて女の子が追いかけます。 花びらは時々、その場にとどまるようにただよったり、どこかへ行くように飛ばされたりしながらどんどんと進みます。 女の子もそれを追いかけて、どんどんと進んで行きました。
青い花びらが力なく地面に落ちていきます。 かけよった女の子は、ついに青いお花を見つけることができました。 ほんのりと木々の隙間から降り注ぐ光に照らされて、それはとてもとても綺麗にみえました。 「やったわ!これで、おばあちゃんも元気になる!」
青いお花を摘み取って、女の子は帰ろうとしました。 そして気がついたのです。 花びらを追いかけてきた女の子には、帰り道がわからないことに。 そして、その場所が、入ってはいけないと言われた黒い森の中であることに……
村は女の子が帰ってこないと大騒ぎ! 誰かが言います。「女の子が森へと入っていってしまった」と。 約束を破ってしまったのだと、誰もが涙をながしました。 そこへどこからともなく、ひらひらと青い花びらが風に乗って運ばれてきました。 村の人たちがそれを見守っていると、その花びらは、窓からとある家へと入っていきました。 それは女の子のおばあちゃんの家でした。 花びらは手のひらにふわりと落ちました。 そして、おばあちゃんはそっと息を引き取ったのでした。 これでおばあちゃんの苦しいことはなぁんにもなくなりましたね。
女の子のお願い事は叶いました。
めでたしめでたし。 |