これまでの人生は決していいものと断言できるものではなかった。生まれつき身体に刻まれた刺青、一部だけならすぐに隠すことができるが生憎俺のものは全身に広がっており、入学した時からそれが原因で虐めを受けた。気持ち悪い、ヤクザ、子供に近づくな…、その他様々な罵声を浴びせられる毎日。日本じゃ刺青そのものが受け入れがたいものらしく教師でさえ助けを出してくれなかった。だからと言って不登校になったわけではない。こんな奴らの言うことなど聞く耳を立てず自分は何も悪くないと言い聞かせた。もし家に引きこもってしまえばあの優しい両親に心配をかけるし、何よりテレビの影響だったがなりたいと思っていた警察官になれないと子供ながらに感じていたから。

「辛いことがあるならなんでも言って」
「父さんや母さんじゃ、お前の助けにはなれないか?」

無理に言わせようとしない、ただ話してほしい、頼ってほしい。その言葉に隠し続けていた思いの数々が涙とともに溢れ続けた、どうして自分はみんなと違うのか、この刺青はなんだ、何もしてないのにみんな自分を虐め先生は助けてくれないのか。
一度溢れたものは留まることを知らず終いには両親を傷つける言葉さえも吐き出してしまっていた。しかし、2人はただ悲しそうに笑いよく頑張ったと俺を暖かく包み込みそして隠し事を教えてくれた。

スターフェイズ家、父はそこの分家にあたる血筋で本来一般人と何も変わらない。本家であるスターフェイズ家は代々エスメラルダ式血凍道を受け継ぎ、血界の眷属や人間界に溢れる異物や超常現象を相手に暗躍している血筋である。しかし、本家ですらもその能力を全員受け継ぐわけではなく、才能や強い意志、環境因子、様々なものが関わりごく一部にのみ開花する。分家にも時折才能の片鱗をみせる人間がいるもののそれだけでは能力を使うことはできない。だが稀に、一般人としての血が濃い分家で非常に稀に能力を持ったものが生まれてくる。それが俺なのだと。能力の使い手であることは俺に刻まれた紋様がその証拠。これは本来血凍道の使い手が持つものだとも。

初めてその話を聞かされるときは理解できなかった。幼いというのもあるが実際にその能力が何なのか分からなかった上に使えたことがなかったから。悩んだ末に俺は両親に頼んだ。
その能力を使いこなしてみたいと、奇跡にも近い俺の能力の開花が何を意味しているのか、何故俺なのかは分からないがその能力を使いこなせれば多くの命を救うことができる。あのテレビの警察官と同じように…

ひたすら自身の考えや夢を語る俺を微笑ましく見守りながら、父はなにかを決意したようで何語かも分からない言葉で何処かに電話をしていた。首を傾げながらその様子を見守っていると母は楽しそうにあなたの夢を全力で応援すると言い頭を撫でてくれた。電話を終えた父の顔は今までにない程喜びに満ちていた



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