眠い、ただただ眠い
カーテン閉めてたはずなのに瞼の裏からでも朝日が射していることが分かる。おい誰だよ、カーテン開けたの。今日は折角の休みなんだから寝かせてくれよ

「おい名前起きろ!!」

子供の声が聞こえる
おれ子供なんかいないよな、まだ独身だし。それに親は海外に行っているから今この家には俺一人しかいない
...うん、空耳だ。ねよう

「っ!!今日剣術教えてくれるっていっただろ!!」

「けんじゅつ?」

俺ん家、確かに昔から伝わる流儀ってのあるけど教えるなんて誰かにいったっけ?
まぁ、どうであれぎゃーぎゃー煩いこの誰か分からないやつを黙らせなければ

のそのそと布団からでて騒いでいるやつを視界に捕らえる

......緑色の頭?

「お前、誰?」

「!!おれはゾロだ、ゾロ!!昨日教えたじゃねぇか!!」

「ゾロ?」


何か聞いたことある名前
...、......あぁ昨日突然現れたら不思議少年ね。思い出したわ


「って何涙ぐんでるんだ!!落ち着けって!!」

「うっ...ヒック、だっておれには、名前しか頼れるやつ...いないのに」

「おれが悪かったって。ほら、お前が元の世界に帰るまでおれがずっと傍にいてやるから」

「ほんとうか?」

「ほんとうだ」

ベッドに座って泣いているゾロを抱上げあやす
そりゃこの歳で周りに知ったやつが居なかったら不安だし怖いよな
おれももし違う世界に一人だけであとは知らないやつだったら不安に押し潰されるだろう
そう考えたらこの子供はすごい

「今から道場いくから泣き止め」

「...うん」

コクりと頷いたゾロを一旦下ろしてから一先ず着替える
今日は胴着じゃなくていいか、休みの日だし...

動きやすい服に着替えてから飯を食いに台所へと足を進める。後ろを見るとゾロはついてきていなかった
多分着替えに行ったのだろう
飯はもう食ったって言ってたし

「恵さん、いつもありがとう」

「いいのよ。さっ、早く食べてゾロ君の相手してあげてね。あの子名前さんに稽古つけてもらうの凄く楽しみにしてたみたいだから」

恵さんはうちのお手伝いさん。彼女の家は代々家に使えてるらしく、彼女も自らの意思でここにいるらしい
家事が全く出来ないおれにとっては仏様みたいな人だ

「名前名前、早くやろうぜ!!」

「今飯食ってるからもうちょっと待ってろ」

着替えも済まして準備万端の、ゾロが早くと急かしてくる
休みの日ぐらいゆっくり食べたかったのにと思っても口には出さない。こんなにきらきらした目でみられたら...、ね?
最後の一口を食べ終え、恵さんに礼を言ってからゾロと共に道場へ向かった




‐‐‐‐‐‐‐




「はっ、はっ」

「隙がありすぎだな。それに体力面にも問題ありだ」

床に寝転ぶゾロにそう告げる
でもま、この歳にしてはそこそこだと思うけど

おれの言葉を聞いて悔しそうに歯を食い縛る。そういや、女の子に負けて悔しいからこんなに頑張ってるんだっけその女の子の腕前は知らないがこの調子だとその子を抜くのもそんな先ではないだろう

「ほら」

手を貸してやって起こす
負けたことがそうとう悔しいらしく顔を下に向けたままだ

「...隙あり、体力なしだが筋はいい。これから鍛えていきゃお前はすぐに力をつけてくさ。おれが保証してやる」

「ほ、本当か!!」

「あぁ、まぁその為にはおれの組んだトレーニングしてもらうぞ」

「おぉ!!強くなるんだったらなんだってする!!」

先程の落ち込みからうって変わって元気になったゾロに思わず苦笑する
全くこいつは


「名前さん、お昼のご用意が出来ました」

「あぁ、今から行きます。ありがとう恵さん」

「いえ、それでは失礼します」

もう昼か...、稽古に集中し過ぎたな
持っていた竹刀を壁に立て掛けてからゾロの方に向き直る
すると休むことなく素振りをしていた

「ゾロ、飯いくぞ」

「えっ!!まだ稽古してくれよ!!」

「後でな、まずは腹ごしらえからだ。おれ倒れそう」

まだやると駄々をこねるゾロの首根っこを引っ付かんで無理矢理連れていく
バタバタ暴れるがおれの飯食わないと稽古つけない発言に大人しくなった

「しっかり食って、しっかり寝ろ。そんなに急がずともお前は素質がある。すぐにでも強くなるから、ゆっくりな」

「...はーい」

ぽんと頭を撫でてから道場をでる。これから休みの日も大変になるなと思うと憂鬱になってきた
でも、あいつは強くなりたいと真に思っている。ならおれはそれに答えるしかないだろ

「おーいゾロ!!早くしろー!!」

「今行くっ!!」

これから俺んちの流儀をびしばし教えていくから、覚悟しとけよゾロ

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