先生と俺とハンジ君 この進撃幼稚園には個性の強い子供たちが多い。子供でありながら感情表現をあまりしない子、よく舌を噛んで血だらけになる子、難しい本を好んで読んでいる子など兎に角普通の子供とはかけ離れている 「ねぇ、エレン先生。ロード先生は?」 「もう少しで来ると思うよ。ロード先生と遊ぶのか?ハンジ君」 「巨人人形作ってくれるって約束してくれたんだ!!」 この子ハンジ君も周りと同じように変わっている。図鑑で見る巨人が可愛いというのだ、俺からしてみれば気持ち悪い顔のでかい人間ってだけで可愛いなんて言葉とはかけ離れていると思う存在。しかし、それはこの子からしたら猫や犬と比べられないくらい可愛いらしい。全く理解できない 「ハンジ」 「あっ、先生!!」 黒のパーカーにうちの制服である翼のマークが入ったエプロンをしたロードが手に裁縫道具を持ってそこに立っていた。いつからいたの、そう聞くと今きたとだけ言ってその場に腰を下ろす。俺もつられるようにしてその場に座わるとちらりと俺に視線を寄越したロードが持ってきた裁縫道具からなにかを取りだし手渡してきた 「これは?」 「こいつの為に作った人形。お前、裁縫ぐらいはできるだろ」 「あぁ。…少しだけなら」 「それ仕上げてくれ」 それはハンジ君の好きな巨人の人形。俺にこれを渡してお前は何をするのかと顔を上げると彼はハンジ君を胡座の間に乗せてハンジ君が持ってきた巨人の図鑑を見ていた 「先生先生。次はこれ作ってくれる?」 「…何度みても気持ちわりィなコイツら」 「気持ち悪くないよ!!ほら、この目元とか可愛いじゃん!!」 「理解できねェ」 「私は先生が理解できない」 巨人のことで小さく討論しながらもロードはこれこれっ!!と言ってハンジ君が指差す巨人の人形を作るために針や糸、布や綿など準備をしそれらを使って作り始めた。ハンジ君はそれを嬉しそうに見ている 彼は手先が器用で止まることなく綺麗に巨人の形へと作り上げていく。その手際の良さとプロ並みの腕に魅入っていると俺の視線を怪訝に思ったのだろう、ロードが何だと顔をあげることなく聞いてきた 「いや、凄いと思って」 「昔から何かと細かい作業をしてきたからな、慣れてる」 「ヘェー」 「ロード先生の作る人形は店で売ってるものと変わらないくらい完璧なんだ!!」 ほらっ!!とハンジ君がいつも持っている巨人の人形を得意気に俺に見せる。これもロードの手作りなんだ 「エレン先生もそれ作ってくれるの?」 嬉しそうに目をキラキラさせるハンジ君の視線の先には先程ロードに渡された未完成の巨人の人形。あんなもの見せつけられて失敗したらロードにもハンジ君にも申し訳無い。それでも俺には変な意地があって 「あぁ、今から巨人作ってやるから」 「ほんとぉ!!」 わーいと喜ぶハンジ君に笑いかけ裁縫に取りかかった。ロードに負けるわけにはいかない!! だけど、思いがあったところで裁縫が完璧に行くわけでもなく。俺はロードにあれこれ教えてもらいながらやっとの思いで1つの人形を完成させた (「エレン先生、手大丈夫?」) (「お前、裁縫得意じゃねェなら先に言え」) (「…わりィ」) back |