また会う日まで

長い長い夢を見ていた気がした。微睡眠から目が覚める間かにその瞬間まで、昔にあった幻のような一年間の夢を

「リヴァイ、君が昼寝なんて珍しいね。明日は嵐かな」

「…勝手に入るなと何回言ったら気がすむんだ、クソメガネ」

「ノックしたってば。今回は起きてない君が悪いよ」

あれから20と数年。結局アイツは再び姿を表すことはなかった
それでも俺は、馬鹿げたことだと無意味なことだと分かっていながらもアイツを探し続けている

"もう一度この偶然が起こる"

そう餓鬼だった俺を納得させるために紡いだ言葉を三十路のいい歳こいた大人が今でも信じ続けてるなんざ笑い話の一つになる。しかし、それでも待っているのは心の隅で奇跡が起こることを期待しているからで

机の上に置いてあるリングを見てはいつもお前のことを思い出す。正確にはあの出来事を
お前が聞いたらあり得ねぇと眉を潜めるかもしれないが俺はお前の顔をもう思い出せない。俺とお前を繋ぐ思いでは歳を重ねるにつれ一つ一つ零れ落ちていって、暖かい腕の温もりも、何処か優しさを含む声色も段々薄れていった。それでもお前の特徴的な隈、刺青、強い意思を秘めたその瞳は忘れたくても忘れられない

「リヴァイー。もうそろそろ明日の壁外調査の会議するっぽいから早くおいでよ」

「あぁ」

今お前は何処で何をしている。遠く離れた世界の何処かで、同じような空を眺め、同じような太陽の光に目を細めているのだろうか。海と言う見たことのない大きく広がる水の上で、海賊という無法者として生きているのだろうか。お伽噺にでも出てきそうな世界で生きているのならそれでいい

「………」

もう会えないかもしれない
それでも俺はお前を待っている。巨人を駆逐する日々の中で、この身が朽ち果てるまでお前のことを待ち続けよう。二つのリングがチェーンで繋がる、俺とお前を唯一繋ぐこのリングを手に重たい腰を上げた


「…__」

呟いた名前は何度呼んでも色褪せることはない、いくら時があの思い出を消そうともこの名を消すことはできないはずだ。何度も何度も、おれをこの世に繋ぎ止めてくれるこの名を
お前がいたから今の俺がいる
だから、再び偶然が俺達を引き合わせてくれるその日まで







(ありがとう)




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