炎天下、大海原のど真ん中に佇む小さな船の上で大人と子供が揃って釣りをしている姿を新聞片手に眺めていると、この暑さが堪えたのはたまた獲物が引っかからない苛立ちからか大人であるロジャーが釣竿を船に叩きつけ文句を垂れた。対する子供の名前は一切言葉を発する事なくひたすら獲物を待つ。間反対の2人を可笑しく思うもやる事が逆だろうと呆れから息を吐くのは仕方のない事。取り敢えずこの暑さはいただけない。

「ロジャー、そんなに嫌なら早くこの海域を抜ける事だ。次の目的地くらいあるんだろう?」
「ねぇよ!んなもん!」
「………」
「痛い痛い痛い!無言で怒りをぶつけるのをやめてくれレイリー!」

暑さでやられてるのはお前だけじゃないんだ。つい力の入る手をロジャーから離し釣りを続けている名前に目をやる。此方のやり取りに耳を傾けず竿の先を見つめる子供の隣に腰を下ろし、ぽんぽんと頭を撫でた

「お前はロジャーみたいに騒がないんだな」
「…騒ぐと余計暑くなるだけだろ?無駄な体力は使わない主義」
「それが利口だ。ロジャーも名前を見習うべきだろ」
「うるせぇ!暑いし魚は釣れないしでムシャクシャするんだ!」
「ロジャーもう少し静かにしてくんない?こっちまでイライラする」

今日は名前まで俺に冷たい!と騒ぎ立てるロジャーはほっとく。ロジャーは麦わら帽子を被っているから多少は大丈夫だろうが名前にそんなものはない。陽に照らされキラキラと輝く菫色の髪は焦がされるのではないか思うほど熱を帯びており、このままだと暑さでこいつが倒れてしまう。…海に一度落とした方がいいか。思考がおかしな方向に行ってしまうほど俺もやられているか。早く島に着くのが1番。結論付けた時、名前の頭にパサリと乗った麦わら帽子。それは間違いなくロジャーのもので。当の本人はニヤニヤも笑い、投げ出した釣竿を持ち直し座った

「…ロジャー、自分で被っとけよ」
「お前がぶっ倒れたら困るからな!なぁ!レイリー!!」
「…それはそうだが。お前の被ってた麦わら帽子だぞ、あれだ」
「ジメッてて気持ち悪りぃ」
「仕方ねぇだろ!!そこは我慢しろ名前!」

文句を言いながらもその表情は真逆。嬉しそうに笑う顔は残念ながらロジャーには見えておらず、からかうように紡がれる罵倒の数々に打ちひしがれるロジャーと面白そうに笑う名前に微笑ましさを覚え、自らもその輪に混じるのだった


(「なら名前!次の島に着いたらお揃いの買おう!そうすりゃ全て解決だ!」)
(「ロジャーとお揃いかよ〜」)
(「嫌そうなトーンで言うんじゃない!!」)
(「いいじゃないか名前。麦わら帽子はお前によく似合っている」)
(「そうか?…んじゃ、買おうかな」)
(「俺とレイリーへの対応が違いすぎるぞ名前!!」)

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