魔のさ行

2012.01.09.Monday


熱を帯びた互いの身体が冷えていくのを感じ、汗や吐き出した体液を拭おうとスコールに覆いかぶさったままだった身体を起こそうとする。瞼は閉じられているが、絶頂の余韻に浸っているだけであろうスコールは、ラグナが少し身じろぎしただけで喉の奥のほうで声を漏らした。
可愛い、とつい調子に乗って軽く揺すれば、悩ましげなため息を吐きつつまだ欲情に濡れた灰蒼の瞳がラグナを見つめる。その様子に珍しいこともあるものだ、と思いつつ、ラグナは嬉々とした。基本的に、立て続けに事に及ぶのは疲れるからしたくないらしい恋人は、こうしたラグナの戯れを嫌うことがほとんどだ。しかし、今夜はその基本から外れるようだ。

「いい?」
「……ん」

尤も、わざわざ聞かずともすでにラグナの腹には立ち上がったスコールのものが当たっている。言葉少なくとはいえたずねたのは、念のためというやつだ。
二回目ということもあり、ストロークはゆったりしたものだった。性急に求めあうようなものは一回目だけでいい、とラグナは思うのだが、ラグナよりも若いスコールはそうではない。まだ性的快楽を知ったばかりの彼は、何よりも達することを望むフシがあった。のんびりと、しかも弱いところをわざと外すような腰使いに焦れているのか、自らも魅惑的に腰を動かして積極的に快楽を求める様は、仕方が無いとも思う。実際、ラグナがスコールと同じ年齢のころも、相手と触れ合うよりも快楽を優先させていた記憶があるからだ。
理解があるとはいえ、そんなスコールに思うところがあるのは仕方が無いことだろう。しかし、ここまで溺れさせるくらいに仕込んだのは自分なのだと思うとそれも忘れ、一種の征服欲も満たされたような心地にもなるのだ。
請うような視線を無視しなおもゆるやかな律動を続けたまま、適度に筋肉のついたスコールの太股や脇腹を撫でると、ついに根をあげたのだろう。普段はストイックに引き締まった唇がもっと、と欲をあらわにした。

「もっと撫でてほしいのか?」
「…っ、違う……!」

こっち、と普段はグローブに隠された白い手が結合部にのびた。同時に強く締め付けられたのは意図的なものだろう。
少し意地悪をしてやれば、自身の思惑通りにさらに淫らに誘うその様子に内心でほくそ笑みながら、望み通りにしてやろうと細腰を強く掴んだ。

11:47|comment(0)

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