KIRIBAN | ナノ





キラキラ星の見つけ方






時折、練習中に感じる視線に私の心臓がトクンと小さな音を立てる

誰からの視線なのかわかってる

だけど、私は素直にそちらを見る事が出来ないでいた

そして私の小さな変化を見逃さないもう一つの視線に、まだ気がつかなかった





















練習室に響くアコースティックギターに、誰がそこにいるのか姿を見なくても想像できた

集合にはまだ早い時間…

彼の邪魔をしてはいけないと、私は中に入る事を戸惑いつつも奏でられるメロディーに聴き入っていた



「…瑞希…?」



メロディーが止まったと同時に声をかけられる



『…おはよ…透、早いんだね。…ごめんね、邪魔しちゃって…』

「クスッ…瑞希だって早いよ…。あ、おはよう♪」



二人で微笑み合って、クスクスと笑う

透との空気感は穏やかで…好き…



『どうしてこんなに早いの…?』

「うん。どうしても頭から離れないフレーズがあって…。その部分だけでも纏めたくて」



努力家の透だから、その言葉も納得できる



「瑞希は…?」



早く来た理由を聞かれて、なんて答えていいのかわからなかった



『………』

「練習も集中できてないみたいだし…」



なんで透は私の事、こんなにわかるんだろう…



『透は、何でもお見通しなんだね。…隠し事もできないないよ…』

「俺で良かったら聞くけど…」



透が何となくそう言うのはわかっていた

透の優しさに甘えてもいいのかな…

差し出された助け舟に手を取ってしまいそうになる



『ありがとう…でも…』

「自分で解決したい?」



ホントに何でもお見通し…

黙って頷くと



「…いつもならそれでもいいんだけどね。今回は、口を挟ませてよ」



透の思ってもみない言葉に胸がざわつく

真剣なその瞳に吸い込まれそうになる



『今回は、って…』



薄く笑みをこぼし、その瞳から目を逸らす

練習に集中できていない事を、透はリーダーとして気にかけているんだと思う

責任感が強いからな…



「…何かあった…?…理人と…」

『………』



どう答えていいのかわからない私にとって、核心をつく質問

頷く事も出来なくて視線を宙に泳がせる

その時…



「理人!そこに居るんだろ?」

『え?』



こんな早い時間に理人が…?

扉の向こうから現れたその人物にドキリと心臓が音を立てた

まだ眠そうな顔でゆっくりとスタジオに入って来る



「珍しいな…お前がこんな時間に来るの…」



透がハハッと声を上げて笑う



「…何となく…早く来ないといけない気がした…。けど…眠い…」



理人はそう言いながら私に視線を向ける



「瑞希…」



私を呼ぶ理人の声がなんとなく優しくて、戸惑いを感じながら恐る恐る見ると、見たことないような表情の理人に驚いた


なんて…強い目瞳で私を見るんだろう…



「ねぇ、俺の事…嫌い…?」



急に目を伏せて不安げな顔をする理人…



『嫌いだなんて、そんな事…』

「だって…俺を見てくれない…」



拗ねた理人はまるで子供のよう…

そんな理人から視線を外せないでいると



「理人…自分の気持ちを押し付けてばかりは…」

「透!…聞きたい事が…」



透の言葉を遮り、理人らしくなく叫ぶ



「…何…?」



いつもとは違う理人に戸惑っている透の表情が印象的で思わず見つめてしまった



「透って、瑞希の事…好きなの?」



先ほどまでの強い瞳で透を見つめる理人…

透は少し戸惑っているようにも見える

私はと言えば、理人の質問にも胸がドキドキして…

透がどう答えるかにもドキドキして…







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