KIRIBAN | ナノ





100回目のキス







「瑞希…もう一回…」

「ん…怜…司…」



何度も何度も…お互いの唇を求め合って…

離れる事ももどかしくて…

ずっと…

この腕に閉じ込めていたい…


ライナスもシヴァも関係なく




















やっと手に入れた彼女は高校の同級生で、俺がライバルだと思っているライナスのキーボードを担当している

最初に興味を持ったのは、水橋と遠野のお気に入りだったから…

だけど、君は俺の予想を遥かに上回って俺の心を支配した

彼女の言葉…

仕草…

一つ一つが全て可愛くて

俺の知っている女とは全く違っていた


――俺の知ってる女…


ホントに俺は女という生き物を知っていたんだろうか

躰だけの関係

女が俺に本気になると途端に俺の気が失せる

心まで欲しいと思ったのは彼女…瑞希が初めてだった


















「…ね?今日はもう何回キスしたか知ってる?」

『ん…そ…な…わかん…』



彼女の言葉を吐息ごと奪い、全てを俺で覆い尽くす



「フフ…68回…」



適当に言った数字



「…100回目のキスは、瑞希からとびきりのキスが欲しい♪」

『と…びき…り…?』

「うん…ほら、キスの雨…」

『…んっ…はぁ…』



彼女からのキスが欲しくて…

彼女の声も聞きたくて…

キスを体中に落とす

俺のキスに一々 彼女は反応し、声を漏らす

瑞希のこの姿は誰も知らない

俺だけのもの…



「…97回…」



チュッ



「…98回…」



チュッ



100回を目前にキスを止めて彼女を見る

頬を高揚させ、息もはずませて…

潤んだ瞳で俺を見て…



「…かわいい…」



そう呟くと顔を横に背けて

その行動が益々俺を煽っている事を彼女は知らない

耳元に唇を近づけ、そっと囁く



「…99…回…」



チュッ



彼女の耳に口づけると体がピクンと反応し

真っ赤な顔をした彼女に頬を包み込まれた

瑞希の指が俺の髪に挿しこみ後頭部を引き寄せられ…

唇が合わさる瞬間に、彼女と俺の体勢が逆転した

彼女の意外な行動に一瞬訳がわからなくなる

俺に馬乗りになって、妖艶な雰囲気を醸し出して…

その潤んだ瞳に映った俺の姿が大きく見える


彼女の指が俺の髪を梳き…

目を閉じる事も忘れて彼女の唇を受け入れる

柔らかい瑞希の唇が俺のソレに触れると、躊躇しているのか戸惑い気味に舌が俺の唇を舐める

丁寧に…

俺自信を大事に扱うように

そして…

愛しむように…

彼女の優しい気持ちがゆっくりと唇を通して流れ込んでくる

こんなキスは初めてで、こんな風に想われているのかと思うと

彼女を抱きしめずにはいられなかった





体が密着すると、瑞希の舌が深く俺に絡んでくる

俺の…教えたキス…



『…100…』



唇が離れると、彼女が囁く


ホントは、100回のキスが終わったら…なんて事を考えていたけど瑞希のキスの余韻に浸りたくて

黙ったまま…彼女を抱きしめた

















『…ねぇ?…怜司?』

「ん…?」



彼女の言いたい事はわかってる

あれだけキスをしたら、普通…やっちゃうよね…

だけど、今はこうしていたい

ただ…抱きしめていたい



「明日は99回…瑞希が俺にキスして?」

『え…?そんな…無理!』



真っ赤な顔して、か〜わい♪



「100回目は俺から特別なキスを送るから…」


















どれだけ俺が瑞希を好きか

どれだけ君に溺れているか…

わからせて

俺から離れられないようにする




きっとこれは俺の初恋だから…

大事に…

大事にしたい想いだから…













-end-

title: 静夜のワルツ 様

2011.06.02






瑞希様に捧げます

40000番ありがとうございます
これからもよろしくお願いいたします

瑞希様のみお持ち帰り可です


大変遅くなりました…(_ _)

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