KINDAN | ナノ





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「貴女の行きたい所にいきましょうか…?」



そう言われて、私が選んだのは…
隣の県にある遊園地だった

たまには恋人らしいデートがしたくて、遊園地に行きたいなんて言ったけど…

子供っぽいって笑われると思っていたのに、貴方の答えはとても意外なもので…

戸惑いながらも、内心は何を着て行こうか、お弁当は…なんて浮足だっている自分がいる

隣の県なんて遠い場所にしたのも…私と彼の関係が秘密だから…

そう、私たちの関係は《禁断》…



















私たちの待ち合わせは電車の中…

知り合いがいないであろう場所を通過すると、彼が私の隣にやってきた



「遊びに行くというのに、すごい荷物ですね…」



いつもは冷たく感じる彼の低い声に、何故か安堵していた



『緒方くん…おはよう!お弁当を作ってきたの♪』



私がそう言うと、彼はかけていた眼鏡を外し、ため息をついた



「はぁ…今は教師と生徒ではないんですよ…?二人の時は?」



彼の問い掛けにドキドキしながら



『えっと…杏…平……』



私の呟きに彼は優しく微笑んでくれて、私の右手をギュッと握ってくれた



『あ…あの…』

「今日はせっかくのデートですから、楽しみましょう…それから、コレかけて…」



そう言って取り出したのは…伊達メガネ



「万が一、うちの生徒と遭遇してもすぐにはばれないでしょう…」



なんだか、アイドルにでもなった気分…



『杏平は?…メガネ…』

「私は、今日はコンタクトレンズです。いつもと違った方がいいでしょう…」



いつもと違って見える彼の横顔にドキドキしてしまう



「先…いえ…美花?」



初めて呼ばれたわけではないのに、益々心拍数が上がる



「いい加減慣れてくれませんか?こちらまで照れてしまうでしょう」



彼にまたため息をつかせてしまった

だけど…照れている杏平を見てみたい気もしている

目的地に着くまでの間、これといった会話もないけど…

そんな二人の間に流れる空気を、私は楽しんでいた




















「思ったより、時間がかかりましたね」



目的の遊園地に着いた時は、もうお昼に近い時間でってのもあって…

私たちはお弁当を先に食べる事にした

敷地内にある芝生が敷き詰められている場所に移動をして、杏平にお弁当を渡す



『だいぶ、マシなものを作れるようになりましたね』



その台詞に思わず顔がほころぶ


素直じゃない彼の言葉…

私にしてみれば、最上級の褒め言葉だったから…



「私にけなされているのに、顔に締まりがないとは…貴女は変な人ですね…」



けなされていないことは私が一番わかっている…

お腹と共に私の心も満たされていた



『さて、どこから行こうか?』



私は意外と絶叫系も平気で…

杏平の表情を探る



「まさかとは思いますが、私の弱点探しですか?」

『ま、まさかっ!!』



――よ、よまれてる…



『じゃあ、まずは…あれなんてどう?』



心の動揺を悟られたくなく、適当に乗り物を指差した



「えっ…?」



聞いた事もないような響きの声…

自分が指差した方向を見てみると、なぜかお化け屋敷だった



『嘘…』



指差した自分が一番驚いていた…が…

杏平の尋常でない様子にも驚いた

一点を見つめたまま動かない…



『杏平…?』



声をかけると…



「い、いいでしょう。あそこに行きましょう」



彼は私を置いてスタスタと先を歩き出していた



――まさか…ね…



そんな疑問を抱えつつ、お化け屋敷に到着…



「さ、行きましょう…」

『杏平?…大丈夫?』

「何がですか?」



あれ?いつもの涼しい顔…


私の心配なんて関係なかったみたい

しっかりと手を繋ぎ、中へと入っていく










それが…やっぱり様子がおかしい

握った手に、若干力が篭っていて…

中はというと、最近流行りの人間がお化けをしているものではなくて、ほとんどが…人形…

いきなりのライトアップだったり、音響だったり、飛び出してきたり…

恐怖なんてのは、皆無に近い状態で…

暗くて彼の顔は見えないけど、女の子として怖がった方がいいのかな?

なんて事を考える余裕まで出てきちゃって…

暗いことをいい事に、私は杏平の腕にしがみついた

本当は彼の反応が気になっているのに、全くわからないまま出口にたどり着いた



『はぁ…どうだった?杏…平…?』



彼の顔を覗き込むと



「申し訳ない…コンタクトレンズがずれたみたいです…」



そう言い残し、顔を背けてトイレへと行ってしまった

私はなんとも言えない思いに胸が締め付けられていた

しばらくして彼が戻ってきたけど、メガネをかけていて…



「コンタクトレンズは…私には合わない…」



なんて言って…いつもの彼だった…



『そうね!今から絶叫系に乗ったりする事を考えたら、コンタクトはやめてぁいた方がいいわね!』



そう言って彼の手を握った…

指を絡ませた恋人繋ぎで…

すると、杏平は中指でメガネを直す

これをする時は照れ隠し…



「次は…どれにするんですか?」

















私たちは日が暮れるまで様々な乗り物に乗ってこの日を満喫した












太陽が完全に落ちてもまだ空は夕焼けで明るくて…



『それじゃあ、最後はこれ…』



私の指差した先を見て杏平も納得し、



「少し列びますが、仕方ないですね…」



二人で列の最後尾に列ぶ







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